2018.10.12おもしろそうな予感に満ちた『越知ぜよ!熱中塾』、スタートです。

おもしろそうな予感に満ちた『越知ぜよ!熱中塾』、スタートです。

キャッチフレーズは「もういちど七歳の目で世界を…」。大人のための学びと出会いの学校『越知ぜよ!熱中塾』が、9月29日に開校しました。その第一期入塾式の様子と、これからどんなことが始まりそうなのかをレポートします。

『越知ぜよ!熱中塾』の入塾式の校舎は、越知町の横倉山自然の森博物館。その3F展望ロビーに集まった一期生は、年齢が18~87歳、服装も印象も様々な町内外の男女93名。目的を共有するグループというものは、ある種の統一された雰囲気を醸し出すものですが、品のある和装のご婦人から今っぽい若者、パンチのあるおばちゃんから副町長まで、もうなんだか「ごった煮」感のすぎる塾生たちであります。

article156_01.jpg熱中小学校の仕掛け人で肩書は『用務員』の堀田一芙(ほったかずふ)さん。熱中小学校について詳しく知りたければ、「地方創生”熱中小学校”の果てなき挑戦/辰巳出版(熱中通販サイトでも販売中)」をご一読ください。

『越知ぜよ!熱中塾』というのは全国で展開されている『熱中小学校』のひとつ。熱中小学校とは内閣府から交付金の支援を受けて展開される地方創生プロジェクトで、その目的は簡単にいえば「人材育成」と「地方創生」。各界の第一線で活躍中、または活躍していた人を講師として招き、様々な授業や体験、出会いを受講生に提供していきます。つまり、これは「大人のための学びと出会いの学校」というわけなのです。2015年10月開校の高畠熱中小学校(山形県高畠町)から数えて、『越知ぜよ!熱中塾』はその11校目になります。

article156_02.jpg土佐山アカデミーの吉冨慎作さん。山口県の出身ですが坂本龍馬に憧れて高知県へ移住。このハレの日に、龍馬ファッションで司会進行です。

 入塾式は、熱中塾スタッフである土佐山アカデミーの吉冨慎作さんと佐竹祐次郎さんの司会進行のもと、塾長・能勢秀樹さん(住友林業顧問)のあいさつ、越知町長・小田保行さんのお祝いと続き、熱中塾の概要説明、そしてトークセッションが繰り広げられました。

article156_03.jpg塾長で越知町が故郷の能勢秀樹さん(住友林業顧問)。

 能勢さんは塾長としてのあいさつのなかで、故郷というものについて話をしました。住友林業では海外赴任生活が長かったこともあり、世界の情勢を身近に感じる環境だった能勢さんは、難民など、世界には故郷があっても戻れない人がたくさんいることに触れ、こう続けました。
「私たちにはとても日常的な〈戻れる故郷がある〉というのは、実は恵まれたこと。熱中塾では、故郷の素晴らしさを改めて認識したい、そしてそれを世界に広めていきたいと思っています。日本中、いや世界中から講師を集めて塾生は見識を深め、お互いを理解し合い、高知県や仁淀川流域の魅力を世界中に広げていける友人づくりの基礎になればと思っています。どうか、出席率が落ちないように(笑)皆勤賞でお願いします!」

article156_04.jpg越知町長・小田保行さん。

 越知町長の小田保行さんは熱中塾の授業の多様性について語りました。
「子供のころは学校でいろんなことを学んだものですが、大人になると、必要ないことや興味のないことを学ばなくなりますよね。熱中塾ではいろんな講師がきて、興味があろうがなかろうがワクワクするような講義を受けられます。この塾で何かヒントを得たり、今やっていることにプラスになって、大きく深く楽しく何かが出来るようになっていただければと思っています。これからどのようなことが起きるのか、私もワクワクしています。」

article156_05.jpgトークセッションでの面々。

 トークセッションに登壇したのは熱中塾教頭の黒笹慈幾さん(右:我が仁淀ブルー通信編集長は多忙ですな)と、黒笹さん曰く「とんでもない黒幕(笑)」という熱中小学校の仕掛け人で表の顔は用務員の堀田一芙さん(中:元日本IBM常務)、熱中小学校客員教授で「仁淀川漁師秘伝―弥太さん自慢ばなし(小学館)」著者として、仁淀川とは20年来のつき合いがあるかくまつとむさん(左:仁淀ブルー通信でも連載記事を担当)
『越知ぜよ!熱中塾』が塾生の人生を変えるホットスポットになることや、地域振興や人生を豊かにするための一例などを、経験を交えて語り、塾生たちを沸かせていました。

まっこと個性豊かな塾生が集まりました!

article156_06.jpg自分をオープンにして、語り合う塾生たち。

入塾式の締めくくりは、9人ほどのグループに分かれて車座になって自己紹介や、この熱中塾への期待や夢を語り合いました。仁淀ブルー通信はこの機を逃さず、塾生への突撃インタビューを敢行!

●西脇康之・亜紀夫妻

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 西脇夫妻は佐川町から参加。康之さんは佐川町地域おこし協力隊員として自伐型林業に従事する傍ら、仁淀川のアユを販売する「鮎屋仁淀川」を夫婦で始めています。
「いま、仁淀川で釣ったアユを京都の料亭に卸すビジネスをしているのですが、今後はネットなどを使って一般の人へも販路を広げたいと思っています。熱中塾には、自分たちに足りてないスキルを学べるのではないか、知り合いを増やせるのではないか思い、参加を決めました。」

●黒岩大智さん

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 高知市出身で、子供の頃は仁淀川で遊んでいた黒岩さん(中)。県外で就職していたのですが、仁淀川が忘れられなくて佐川町にJターン移住。佐川町地域おこし協力隊員として自伐型林業に取り組んでいます。
「地域おこし協力隊の任期は3年間なので、そのあとのビジネスの種を熱中塾で見つけられたらと思っています。それから、社会でいろんな経験をされた方の話を聞けるのは滅多にない機会なので、それは大きなメリットですよね。」
(黒岩さんと同じく佐川町地域おこし協力隊〈自伐型林業チーム〉の齋藤光さん(左)、砂山学さん(右)も熱中塾に参加)

●中村陽介さん夫妻

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 佐川町のトマト農家「トマトハウスナカムラ」の代表・中村陽介さん。
「自分でトマトを作って売りゆうがですが、売り方が難しい。お客さんともっとつながって、直接意見を伺ったりして触れ合いたくて、インターネット販売などもしているのですが、販路を拡大するのはなかなか難しい。それを解決するヒントをつかめたらいいなと、そして知り合いを増やすことでお互いが繋がり、仕事にプラスになればと参加しました。」

●小能美雪さん。

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 日高村に家族で移住し、現在洞窟(猿田洞)探検ツアーのガイドをしている小能美雪さん。仁淀ブルー通信の記事にも登場していただきました。夫の聖太郎さんは『イチネン農園日高村農場』で栽培管理の仕事をしています。
「フェイスブックで見て、なんだかおもしろそうだなと思って、詳しいことは知らないままに(笑)、参加を決めました。昨日オリエンテーションがあって、初めて『ああこういうことをやるんだ』と知ったという(笑)。いつかは農業で独立したいという夢が私たち夫婦にはあって、熱中塾では農業がキーワードの一つになっているようなので、これだなと。『ただ野菜を作って出荷して』だけじゃあいけないなと思っていて、でもどうしていいかわからないので、いろんな考え方や、幅広い出会いがありそうな熱中塾に期待しています!」

●江本美江さん。

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 高知市の東に位置する香南市から参加の江本美江さん。ご夫婦で『江本農園』を経営し、『アンテナスイカ』というブランドでハウス栽培のスイカを手がける農家さんです。
「農産物が消費者に届くところまで責任を持ち、お客さんからの感想や意見をダイレクトに受け取り、それをフィードバックすることで、農家としてのやりがいや喜びが生まれると思っています。でも、経済とかマーケティングとかを全然勉強してないので、なかなかうまくいかなくて……。熱中塾を一つのきっかけにしたいと思って参加しました。」

●小野里玲子さん

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 越知町の地域おこし協力隊で狩猟ガールをしている小野里さん。仁淀ブルー通信の移住者インタビューにも登場してもらった彼女ですが、熱中塾参加の目的は「遊ぶ」!?
「いやあ、まじめに遊ぶですよ(笑)。実は今年、徳島県の上板熱中小学校の『熱中連』に混ぜてもらって阿波踊りに参加したんです。それがまあ楽しくて。熱中小学校に参加している人たちのバイタリティーがすごくて、行動力のある人ばっかりで、むっちゃ面白かった。それが越知町でも始まるとなれば、こりゃあ何かが起きるなと思ったんですよ。」

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 さて、入塾式を取材して私が感じたのは、「仁淀川流域という過疎の田舎に、これだけいろんな経歴と思いと夢を持つ個性があったのか!」ということ。『越知ぜよ!熱中塾』という機会がなければ、塾生たちも「こんな人たちがいるのだ!」とはならなかったことでしょう。入塾式からすでになにかを得たような塾生たちですが、一流講師陣の講義が始まったらいったいどうなることやら!
 第一期生はすでに定員に達していて受け付けを終了していますが、来年になれば4月入塾の第二期生の募集が始まります。『越知ぜよ!熱中塾』のホームページをまめにチェックですよ!

越知ぜよ!熱中塾

(仁淀ブルー通信編集部員 大村嘉正)
●今回の編集後記はこちら


アウトドアが似合う「NAKAMASAKE」誕生

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 10月2日、越知町の「スノーピークおち仁淀川キャンプフィールド」で日本酒の新商品のお披露目会が開かれました。隣町・佐川町にある高知を代表する酒造メーカー「司牡丹」の協力で誕生した日本酒の新商品は、「吟醸酒 越知」(720ml)\1,440と、「吟醸酒 おち」(180ml)\420(ともに税別)の2種類。
 澄み渡った秋の青空の下でのお酒の発表会&試飲会とは、なかなか凝った仕掛けでテレビをはじめ新聞などのマスコミも多数詰めかけていました。越知町の小田保行町長は新商品の狙いを「越知町のオリジナル商品として町民の日常酒として、あるいは帰省した人、仁淀ブルー観光客の手土産として使える商品にしようと、越知の酒飲み男と酒飲み女が酒を飲みながら侃々諤々の議論をして考えた」。
 開発を担った牡丹酒造の竹村昭彦社長は「越知のイメージは横倉山の神秘と仁淀川の清流。神秘性は吟醸の香りで、端麗辛口で清流のさわやかさを表現した。料理は仁淀川の鮎に合わせた。仲間と一緒に飲むお酒「仲間酒」としてキャンプでも飲んでいただけるとうれしい」。
 たしかに日本酒王国の高知では日本酒は居酒屋や料亭などインドアでしっぽり飲む酒というイメージが強いのですが、キャンプやアウトドアシーンで楽しむお酒としての新発想もオモシロイと感じた次第。キャンプ場自慢の「住箱」とのツーショットもなかなか似合います。(仁淀ブルー通信編集長 黒笹慈幾)

article156_15.jpg「スノーピークおちキャンプフィールド」の名物コテージ「住箱」のデッキに乗せた「越知」のボトル。日本酒の原料の80%を占めるのは水、その仕込み水は石鎚山から流れ落ちる仁淀ブルーの一滴一滴が集まったもの。

article156_16.jpg新商品のお披露目会場に青空の下のキャンプ場を選んだのは、小田越知町長。商売人としても油断がなりません(失礼!)。

article156_17.jpg「盃と仲間、食と仲間、技と仲間、人と仲間」をコンセプトに「NAKAMASAKE」というキャッチコピーで日本酒の世界展開を仕掛けている司牡丹酒造の竹村社長。「わが社の新商品の発表会でこんなにマスコミが集まったのは初めて」と驚いていました。