2020.06.05川でいざというとき役に立つ「リバーサイン」とは?

川でいざというとき役に立つ「リバーサイン」とは?

 携帯電話やスマホの時代ですが、それ以外の手段で通信する人たちがいます。それも、「清流」という身近な場所に。電波も電線も必要としないとは、これいかに!?

 ――やや流れが速く小さな白波がある、しかし遠浅の川面に子供5人と遊びに来た。みんなは大喜びで川の中へ。すると2人が足をすくわれて別々に流されていく。100mぐらい離れた仲間に大声で助けを求めるが、瀬の音にかき消されて伝わらない。携帯電話をかけるが着信音に気づいてくれない――。
 そんなとき、仲間と共有しておくと役に立つのが「リバーサイン」なのです。

article221_01.jpgこれぐらいの流れでも、瀬の音で声が伝わりにくいことも。

 リバーサインは、カヤックなどで急流を下る人たち、とくにリバーガイド[注1]に欠かせないスキル。主にホイッスル(笛)と身振り手振りで川面で意思疎通します。
 もちろん彼らはトランシーバーや携帯電話も使いますが、この原始的ともいえる通信手段を手放すことはない。姿を視認できる距離なら、瀬の音に邪魔されず、すばやく仲間に危険を伝えられるからです。
([注1]ラフトボートやカヤックなどで川を案内する人。)

article221_02.jpg瀬の波でサーフィンする藤井勇介さん(THE BLUE EARTH 代表 )。

 そんな「リバーサイン」のうち、川遊びで役立つものを紹介しましょう。
 講師は2019年11月8日配信記事にも登場してくれたリバーガイドの藤井勇介さんです。

リバーサインの出しかた

(1)まずホイッスルを吹いて仲間に視線をもらう。
(2)次に、身振り手振りでリバーサインを送る。
【 例:川に流されている人を助けるため、ロープを要求 】

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      注目!(ホイッスル短音1回)+ロープが必要だ+ここに来い

◆使用するホイッスルと、吹き分けかた
ホイッスルは、玉が入っていない(振っても音がしない)もので、大きな音がでるものを選びましょう。ホイッスルを吹く回数、吹く長さで意味が変わります。
・短音1回「ピッ」/注目!
・短音2回「ピッ、ピッ」/川の上流を見ろ、上流へ行け
・短音3回「ピッ、ピッ、ピッ」/川の下流を見ろ、下流へ行け
・長音3回「ピー、ピー、ピー」/緊急事態発生!

article221_03.jpg藤井さんのホイッスルは「FOX40ミニ」。世界中のプロスポーツの審判や沿岸警備隊も使用(アマゾンなどで通販)。

リバーサインの種類

(1)OK・了解だ

article221_04.jpg片手と頭で丸をつくる。

(2)NO・よくわかりません

article221_05.jpgいかにも「わかりません」と両手を広げる。

(3)SOS 動画

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      片手(両手でも可)を上げて大きく振る。パドルを振ってもいい。

(4)急げ 動画

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      両手を空回りするように回す、またはパドルを垂直に上下させる。

(5)ファーストエイド(応急処置)が必要だ、または必要な事態が起こった

article221_06.jpg両手でクロスをつくる、または片手の拳を胸にあてる。

(6)流されている人がいる、落水者がいる 動画

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      クロールのゼスチャーをする。

(7)ここに集合 動画

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      両手で自分の場所を大きな動作で指さす。

(8)ロープが必要だ 動画

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      両手を上げて、指でくるくると円を描く。

 リバーガイド以外にはあまり普及していないけれど、なにかと便利なリバーサイン。河原できれいな石をみつけたら「ピッ!+[ここに集合]」、薪になる流木を一人で運べないときは「ピッ!+[SOS]」、なんて使い方もできます。
 考えてみると、我ら人類は口笛や狼煙、旗、ヨーデルなど機械に頼らぬ通信をしてきました。その歴史はおそらく数千年。リバーサインを使いこなせば、便利なものに囲まれて休眠していた「人類のポテンシャル」が再起動するかもしれません。

(仁淀ブルー通信編集部員 大村嘉正)

★次回の配信は6月18日予定。
テレビでおなじみRKC調理製菓専門学校校長・島村昌利さんによる新連載「仁淀川リバーサイドキッチン第1皿「フライパンひとつでOK!パエリア・ニヨドガワーナ」をお届けします。
お楽しみに!

●今回の編集後記はこちら