2020.12.18秋空の下、越知町で行われた母と子のユニークな野外イベント第2回「おち まち そとあそび」に潜入!

秋空の下、越知町で行われた母と子のユニークな野外イベント第2回「おち まち そとあそび」に潜入!

2020年11月14、15日の2日間にわたり、越知町宮の前公園で行われた「おち まち そとあそび」という、ちょっと変わった名前の野外イベントは今年で2回目。「母と子のための新しいスタイルのイベントを作りたかった」 (おち・まち・そとあそび事務局)というこの催しの、いったいどこが新しいのか、興味津々で覗いてきました。


article235_01.jpg 「母と子のイベントにしたい」という事務局の狙い通り、ベビーカーを押した参加者が多い。

 「お酒と煙草の匂いがしなくて健康的でいいわよね。子連れでも安心してのんびり一日過ごせるし」。これはイベント当日に聞き耳を立てていたら聞こえてきたある参加者のつぶやき。
 越知町役場の集計によれば「おち まち そとあそび」2日間の参加者は合計で2000人ほど。野外イベントとしては毎年10月に10万人以上を集める恒例の「コスモスまつり」に比べると小規模ですが、これから「3密回避」が必須になるであろうウイズ・コロナ時代のイベントのひとつの方向性を示していると思いました。ちなみに今年の「コスモスまつり」はコロナの影響で中止になっています。
 「感染に備えて参加者には受付で体温測定(37.5度以下入場可)と緊急の際の連絡先を記入してもらい、手首には受付済みのリストバンドを装着してもらっています」と、現場で忙しく走り回っていた事務局の松田健さん。人が集まる以上、野外の催しといえどもこれらの対策は今後必要な備えかもしれません。

article235_02.jpgオープン1時間後の会場入り口。体温測定と連絡先記入の受付をすませる参加者の行列。

 イベント初日、朝10時オープンの30分前に私は会場に入ったのですが、もうすでに受付には長蛇の列が。そして大人のほぼ100%がマスクをつけています。しばらくはこれがウイズコロナ時代の見慣れたイベント風景になるのかもしれませんが、いつになったらマスクなしで安心して集えるようになるのか見通しすら立っていないのが現状なので、ちょっと複雑な気持ちになりました。

article235_03.jpg日高村から参加した大人気のタルト専門店「タル店」。

 オープン直後の会場内でさっそく長蛇の列ができていたのは、日高村からやってきたタルト専門ショップ「タル店」。手書きの看板には「ひと組タルト2コまで」と書かれています。「タル店」は2020年の2月にオープンした移動販売方式のタルト専門店で、出店するイベントにはいつもファンが押し寄せる人気店。この日も昼過ぎにはすべての商品がソールドアウトというすさまじい人気ぶりでした。

article235_04.jpg佐川町から参加した人気のベーグルショップ「Hug Bagel」。

 2日めに長蛇の列ができていたのは佐川町のベーグル専門店「Hug Bagel」。こちらは営業日を決めずに販売直前にインスタグラムで開店を知らせるというゲリラ方式の(笑い)超人気店です。
 「タル店」や「Hug Begel]のように女性に人気のあるスイーツやパン、ベーグルなどのペストリー系のお店を誘致することで、若い女性やファミリーが集まる新しいスタイルのイベントにする狙いが事務局にはあるようです。
 「女性に人気のあるショップの誘致を主導しているのは越知町役場のイベント担当の女性職員たちなんです。あの店も呼ぼう、これも呼んでと注文が多くて正直、困っています」と、事務局の松田さんがこっそり教えてくれました。
 確かに、ネットやSNS上で密かに拡散している人気店の情報をキャッチするのは男性には無理だったかも、と納得です(笑い)。
 会場で目立っていたのはベビーカーを押した母子やファミリーの姿。それを想定してアウトドア体験ができるファミリー向けのイベントや、子供向けのワークショップ、母親世代に向けた出張本屋さんの出店など多彩なイベントも用意されていました。
 また飲食以外の楽しみで滞在時間を延ばしてもらう工夫として、仁淀川を見下ろす高台のハンモックコーナー、歌人・俵万智さんの母の歌を読みながら散策できるセラピーロードなどがあり、あきらかに若い女性や母親世代を意識した演出が凝らされていました。

article235_0506.jpg子供向けのワークショップやハンモック体験コーナーも。

article235_0708.jpgこちらは俵万智さんの母の歌が読めるセラピーロードとTSUTAYA中万々店のカリスマ店員山中さんプロデュースの出張本屋さん。

 子育て世代の母親を意識したイベントで特にステキだったのは2日目に行われた歌人・俵万智さんの短歌の朗読会。サラダ記念日で衝撃的なデビューを果たした俵さんの奔放な恋の歌はよく知られていますが、シングルマザーとして子育てをはじめてから詠み始めた母の歌にも素晴らしいものがたくさんあります。
 朗読会ではRKC高知放送の人気アナウンサー、井津葉子さんが俵さんの歌集の中から選んだ心にしみる母の歌を解説付きで朗読。その癒し系の美声が会場に流れてきて声の井津葉子ファンの私は、うっとり聞き惚れてしまいました(恥ずかしい)。

article235_09.jpg癒し系の美声の持ち主、RKC高知放送アナウンサー・井津葉子さんによる朗読会

article235_10.jpg会場ではTUTAYA中万々店の協力で、俵万智さんの歌集「未来のサイズ」と「タンポポの日々」の直筆サイン入り本の販売も行われていて、私も記念に買わせていただきました。

 初日に行われた「アウトドア模擬結婚式」も若い女性を意識したユニークなイベントでした。越知町の花屋さんが企画し、今年4月に東京から高知市へ移住したばかりの若いご夫婦がモデルになり、仁淀川のほとりで、もう一度愛を誓い直す(笑い)という趣向。モデルのご両親もわざわざ県外から駆け付け、たくさんの参加者の祝福を受けていました。最初は硬い表情だった旦那さんも徐々にリラックスしてきて、最後は「来年もまたやりたい」と言って奥さまにたしなめられていました(笑い)。

article235_11.jpg青空の下の模擬結婚式には、小田保行越知町長も仲人役で参加、大いに盛り上がりました。

article235_12.jpg2日間にわたるワークショップやイベントのメニューがぎっしり詰めこまれた「おち まち そとあそび」のパンフレット。いかにも「アウトドアなまち宣言」をした越知町らしいアウティング系コンテンツが満載。

article235_13.jpg大人の社会塾「越知ぜよ!熱中塾」の飲食ブースも会場に出店。

 2日間にわたって越知町宮の前公園で行われた「おち まち そとあそび」は今年でまだ2回目という若いイベントですが、自然豊かな仁淀川流域の環境を活かしながら若い女性や子育て世代の母親、ファミリーに的を絞った健康的で新しいスタイルのアウトドアイベントを目指していることがよく伝わってきて好感がもてました。来年以降もぜひがんばって続けてほしいステキなイベントなので、仁淀ブルー通信も大いに応援したいと思います。

(仁淀ブルー通信編集長 黒笹慈幾)

★次回の配信は1月1日予定。
「牧野富太郎の見た風景(第4回)」をお送りします。
お楽しみに!

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