2020.12.04「リバーサイドキッチン」第3回「寒さをスパイスに! 越知の山椒香る仁淀流ピリ辛鍋」

「リバーサイドキッチン」第3回「寒さをスパイスに! 越知の山椒香る仁淀流ピリ辛鍋」

 南国高知も朝晩冷える季節になってきました。今回は冬の定番の鍋料理を野外で楽しもうという提案です。一見シンプルに見える料理ですが、実はいろいろ工夫するポイントがあるのだとか。RKC調理製菓専門学校校長の島村昌利校長によるリバーサイドキッチン第3弾! 今回選んだキッチンの場所は、いの町に10月リニューアルオープンの「仁淀川にこにこ館」の近く、仁淀川を見下ろす絶景ポイント波川公園。香り高い越知町産の山椒を利かせた、ピリッと辛い大人な鍋料理作りの様子をお届けします。

 今回のリバーサイドキッチン、波川公園に向かう前にまずは食材を手に入れましょう。日高村は村の駅ひだかにやって来ました。

article234_01.jpg 仁淀川流域の食材が並ぶ村の駅ひだか。

 ここには早朝8時から仁淀川流域のとれたて野菜が並びます。野菜も美味しそうですが、私たちのお目当ては越知町産の山椒。越知町は実山椒の栽培が盛んで、山椒を使った商品の開発も盛んに行われています。以前、越知町産の山椒を炊き込んだおにぎりを食べたことがありますが、華やかな香りの後に舌の表面にピリッと余韻が残ったのを覚えています。そんな刺激的な山椒を購入し、今回のリバーサイドキッチンに向かいましょう。

article234_02.jpg越知町で収穫された山椒が販売されている。

 日高村から高知市方面に向かい、いの町に入ります。仁淀川橋を渡る直前、右折してかんぽの宿伊野に通じる道に入ります。道路脇の駐車場に車を止めて、キッチンを設営する場所探し。道路から川沿いに広がる護岸の堤防上に、遊具やベンチが見えます。ここが今回のリバーサイドキッチンとなる波川公園の一画です。

article234_map.jpg村の駅ひだか・波川公園地図

 公園の中は歩道がコンクリートで綺麗に整備されています。備え付けの机やベンチもあって、晴れていればピクニックが気持ち良さそうです。しばらく公園内を偵察し、公園の南側、一番景色が開けている場所にキッチンを設営することに。この日はあいにくの曇りで気温も低く、アウトドアクッキングをするには少しストレスがあるコンディション。ですが島村校長は「こんな日だからこそお鍋が美味しい。さあ、料理を始めましょう」とノリノリです。この日の予習に最近流行っているキャンプ飯の動画を見てきたという島村校長。天気は良くありませんが、キッチンを取り巻く空気はアツアツです。

article234_03.jpg波川公園の南側、今回のリバーサイドキッチン。

article234_04.jpgテキパキと準備を始める島村校長。

さて、ここで今回使う食材の紹介をしましょう。

〈食材〉(4人分)
  ・あさり(200g)・イカ(200g)・鶏もも肉(200g)・猪肉(100g)
  ・豆腐(400g)・シメジ(100g)・白菜(1/4束)・京葱(1本)
  ・ニラ(1/2束)・四方竹(茹で)(250g)
  ・ニンニク(10g)・生姜(10g)・山椒(小匙1)
  ・鶏ガラスープ(顆粒+水)(1000ml)・豆板醤(大匙1)
  ・酒(50ml)・醤油(90ml)・砂糖(50ml)

article234_05.jpg今回使用する食材。

 始めに、鍋に入れる具材を切ります。ニンニク、生姜はみじん切り、四方竹(しほうちく)、京葱、ニラ、豆腐は一口大に。しめじは手でちぎって食べやすい大きさにします。

article234_06.jpg四方竹はこの時期おいしい高知ならではの食材です。

 白菜も同様に切っていきますが、ここでポイント。白菜の白い茎の部分は斜めに切ります。
「白菜の白い部分は硬いので、火が通りにくいです。斜めに切ることで断面積が大きくなるので火が通りやすく、味がよく染み込みます」(島村校長)。

article234_07.jpg白菜の白い部分は斜めに切ります。

 次に鶏もも肉を切ります。ポイントは最初に隠し包丁を入れること。皮一枚残して隠し包丁を入れることで肉が柔らかくなって食べやすくなるのだそう。

article234_08.jpg鶏肉には隠し包丁を入れる。

 そして今回は飛び入りで島村校長持参の須崎市浦ノ内産猪肉も加わり、四方竹にニラ、猪肉と高知らしい食材が揃いました。
「猪肉は試食して欲しいと知り合いからもらいました。仕事柄、食材の試食や評価などを依頼されることが多いんですよ」(島村校長)

article234_09.jpg須崎市浦ノ内産の猪肉です。

 具材の下処理が完了したら、ニンニクを油で炒めて香りを出します。そこに豆板醤を加えて香ばしさをプラスします。豆板醤の量はお好みで調整しましょう。

article234_10.jpg豆板醤を炒めて香ばしさアップ。

 十分に香りが立ったところでお酒を加えてアルコールを飛ばします。そこに水、調味料を加え、沸騰させます。この日は風が強く、火が流れてなかなか沸騰しません。屋外での調理は風防と予備のガスが必須ですね。

article234_11.jpg沸騰するまで待ちます。

 沸騰したら、鶏肉、イカ、あさり、猪肉を加えて火を通します。
「出汁の出る野菜をここで加えても構いません。例えば、キノコ類はいい出汁が出るので先に加えてもいいかもしれません」(島村校長)

article234_12.jpg出汁の出る食材、火が通りにくい食材は先に入れます。

 火が通ったら、野菜を見た目よく並べて行きます。野菜はたっぷり入れましょう。初めは山盛りでも火が通るとしんなりしてきます。あとは鍋に蓋をして具材に味が染み込むのを待つのみです。

article234_13.jpg野菜を鍋に見た目よく並べる。

 鍋からグツグツと音が聞こえてきました。沸騰してきたようです。ここから5分くらいしたら蓋を開け、山椒を加えて30秒待てば、仁淀川山椒香る中華風ピリ辛鍋の完成です。山椒を加えると一気に香りが華やかになります。なんだか食欲が湧いてきました。

article234_14.jpg仕上げに山椒を加えます。
      寒い季節に嬉しい鍋の完成です。

 早速、島村校長とアツアツをいただきます。魚介の出汁がよく利いたスープに山椒の香りが鼻を抜けます。ピリッと辛い豆板醤もいいアクセントになっています。
 しんなりとした野菜の中で四方竹の歯応えがシャキシャキといい食感です。
「今日は寒かったけれど、こんなときこそ鍋がおいしいですね。さすが越知町の山椒は香りがいい。豆板醤の香りが押されちゃうくらいです」(島村校長)。

article234_15.jpg寒空で余計に美味しく感じます。

 さて、今回は島村校長に冬の鍋物を教えていただきました。コタツを囲んで家族団欒のイメージがある鍋物ですが、この冬はアウトドア×鍋物で家族団欒はいかがでしょうか。食べ終わって島村校長に次回のリバーサイドキッチンの構想を聞きました。
「キャンプ飯と検索したらものすごい数のレシピが出てきてびっくりしました。次回もまだ寒い季節でしょうから、焚き火を囲んで何かキャンプ飯を作るのがいいかもしれませんね」(島村校長)。キャンプ飯、聞くだけでワクワクしますね。次回が楽しみです。

 撮影が終わってからリニューアルオープンした「仁淀川にこにこ館」に立ち寄ってみました。定食やお弁当が販売されているほか、バーベキューもできるようです。綺麗なトイレも完備されていて、子連れのファミリーでも安心です。気軽に立ち寄れる仁淀川流域の新スポットになりそうですね。

article234_16.jpg仁淀川にこにこ館。

article234_17.jpg休憩できるスペースもあります。

(仁淀ブルー通信編集部 高知大学地域協働学部4年 仲田和生)

★次回の配信は12月18日予定。
11月15日に越知町宮の前公園で行われたユニークな野外ギャザリング「おち・まち・そとあそび」の様子をレポートします。
お楽しみに!

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