2020.01.17<高校生通信員スペシャル>心休まる憩いの空間、歴史を感じる建築物。高校生が訪ねる「佐川酒蔵ロード」

<高校生通信員スペシャル>心休まる憩いの空間、歴史を感じる建築物。高校生が訪ねる「佐川酒蔵ロード」

 私たちは高知県立佐川高校の生徒4人組です。去年の6月21日にお届けした私たちの記事(我が町の神社トレッキング)、読んでいただけたでしょうか? 今回も佐川町の魅力を伝えるために楽しい取材をしてきました。
 突然ですが、皆さんは佐川町の名前の由来を知っていますか?  実は名前の由来は文字にもあるように「川」が関係しています。高知県は四国山脈を擁しているため、北から南に向かって流れる川が多い中、佐川の川(仁淀川支流・柳瀬川)は南から北に流れており、ほかの川と流れが逆なので「逆川」から「佐川」となったといわれています。佐川町の川は澄みきっており、その水はいろいろなところで使われています。今回私たちは、そんな水が使われていておいしいお酒で有名な、司牡丹がある酒蔵の道をゆっくり歩いてきました。


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 これは司牡丹酒造がある「酒蔵の道」の風景です。
司牡丹酒造の建物は、酒蔵の道の両側に軒を連ねたように並んでいます。
この酒蔵の道は酒造りをしていない時期でも楽しめます。司牡丹の建物以外にも昔ながらの家屋が何軒か残っていて、なにやら不思議な気持ちにさせてくれます。
 その中でも一番目に入る水切り壁。この水切り壁は雨天の際に雨から建物を守るという役目をもっています。昔の佐川町の雰囲気が伝わってくるのは鱗壁(下の写真左)。鱗壁も水切り壁(下の写真右)と同じように雨風から建物を守る役目を持っています。
この壁についている屋根のようなものが水切り壁です。この水切り壁の役割は、雨風が強い時に雨が壁に当たり、壁の老朽化が早まるのを防ぐために付けられています。雨の多い高知ならではの工夫です。

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 そして圧倒的存在感のある大きな白い壁、そして、その奥に見える立派な煙突。まるで昔の佐川町にタイムスリップしたような感じがします。この酒蔵は、司牡丹ができたころから使われているといいます。私たちはこの酒蔵の壁のひび割れや鉄格子の寂れ具合などに歴史を感じました。

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 この建物は、「ほてい」といい、司牡丹のお酒の紹介や販売をしています。テイスティングもできるので、気に入ったお酒が必ず見つかると思います。また、近くのおすすめの観光スポットなどを教えてくれますよ!

 それでは、次に旧浜口邸に行ってみましょう!
旧浜口邸には、正面から入る「平入り」と裏側から入る「妻入り」があります。
妻入りから一歩敷地内に足を踏み入れると、外の喧騒とは別世界かと思うほどの静かさで、趣のある庭が広がっていました。

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 庭の中に小さいながらも存在感がある花を見つけました。ハルリンドウと言い、牧野富太郎博士が愛し、調べた花です。ハルリンドウの背景には座敷に入る縁側が見えています。まるでハルリンドウが私たちを招いているようですね。
 縁側に座っていると、手洗い石があることに気づきました。一定のリズムで落ちる水滴は吸い込まれるほど透き通っています。中に入ろうとすると、ふと、壁が黒いことに気が付きました。触ってみると手に黒いすすがつきました。

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 尋ねると「焼杉」という、壁を焼いて耐久性を増す工夫だと教えてもらいました。東日本には伝わっておらず、雨の多い地域に住む高知県民ならではの家を守るための知恵です。妻入り側(※棟木と直角の方向)の玄関から家の中に入ると外の空気とは一変した涼しい空気に満たされていました。

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 およそ築100年の歴史を支えている大黒柱を目の前に見ながらスタッフの皆さんに「どうしてこんなに涼しい空気に満ち溢れているのですか?」と聞いてみました。「こちらを見てください」と指さされたほうを見ると、土間の天井に竹皮で編まれた壁(下の写真)を見つけました。「この土間の網代(あじろ)壁のおかげです」と教えてくださいました。夏は涼しく冬は暖かくする工夫だそうです。

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 また、部屋を快適に保つ工夫はもう一つあります。
 説明されるまで気が付きませんでしたが、土間が斜めになっているのです。
玄関と裏口が直線状につながっている構造にしてあり、さらに土間を斜めにすることで風通しをよくする工夫なんだそうです。

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 家の中を散策すると、不思議な金具にいくつも出会いました。
こちらは、柱に打った釘を隠すための飾り金具だと教えてもらいました。下の写真は長押(なげし)に見つけた釘隠しです。

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 ふと振り返るとガラスに映った庭の美しさに心を奪われました。とてもきれいですよね。奥の棚には地域の方が折ってくれた鶴がそっと置かれていました。この鶴にはどんな願いが込められているのでしょうか。この杯や茶器は、地域の皆さんが大切にしていたものを寄付していただいたと伺いました。昔懐かしいデザインや少しノスタルジックな形状。当時の皆さんの思いが時代を超えて私たちに語り掛けているようでした。

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 酒蔵の道では「酒蔵ロード劇場」というイベントが毎年11月頃にあります。酒蔵や古民家の白壁が光の切り絵で彩られます。白壁に映る切り絵はとても美しく、圧倒されます。中には小学生が描いた作品や、佐川高校の漫画部の作品も映し出されます。旧青山文庫前では、楽器の演奏をしており、とても穏やかな雰囲気で楽しめます。いろいろ出店もあり、おいしいものも食べられます。ぜひ行ってみてください!

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◆最後にお知らせです。佐川高校生がカフェをやります!
1月19日(日)がプレオープン、その後、2月15日(土)、16日(日)にオープンします。ぜひ来てください!
場所:佐川町上町「町の駅」(旧くろがねの会事務所)
営業時間:09:00-15:00
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★次回の配信は2020年1月24日予定。
アンコールシリーズ。2018年1月12日に配信の”仁淀ブルーに誘われて ~私の高知移住日記 『劇的変化編』”をお届けします。
お楽しみに!

(仁淀ブルー通信高校生通信員/中村楓 森本萌 新川芽以 岡林珠希)
●今回の編集後記はこちら