2018.06.22クリエイティブな会議をするなら、野に出でよ!

クリエイティブな会議をするなら、野に出でよ!

仁淀川中流域の町・高知県高岡郡越知町に誕生した四国初のスノーピーク直営キャンプ場『スノーピークおち仁淀川キャンプフィールド』。その使い方についても四国初(おそらく)の試みが進行中。キャンプ場は、テントで泊まったりバーベキューするだけでなく、ビジネスにも使えるんです!

 今年4月にオープンし、評判も上々なキャンプ場『スノーピークおち仁淀川』。地元越知町では、キャンプ場らしくない活用法も始まっています。それがキャンプ場を会場に使った『野外会議』。この日は越知町長の小田保行さんも参加して、今年の9月29日に越知町にオープンする『越知ぜよ!熱中塾』についての準備会議なのでありました。

article140_01.jpg気持ちのいい芝生のキャンプサイトに、野外会議場が出現。

 この日はあいにくの大雨。しかしスノーピーク製の大きなタープを張り、キャンプ用のテーブルや椅子を配置すれば、オアシスのような野外会議空間が出現しました。テーブル上に置かれたノートパソコンは、「越知ぜよ!熱中塾」の母体となる全国組織「熱中小学校」の仕掛け人・堀田一芙さん(元日本IBM常務で、熱中小学校の用務員)の姿を映しています。堀田さんがいるのは北海道中央部に位置する川西郡更別村、「十勝さらべつ熱中小学校」が開校している村です。そこに打ち合わせで出張中の堀田さんを交えてのインターネット中継による遠隔会議であります。

article140_02.jpgインターネットを使えば、どこにいても会議ができる時代がやってきている。

 ここで「熱中小学校プロジェクト」について少し説明がいるかもしれない。
 熱中小学校とは内閣府から交付金の支援を受けて展開される地方創生プロジェクトのひとつ。その目的は簡単にいえば「人材育成」と「地方創生」。各界の第一線で活躍中、または活躍していた人を講師として招き、様々な授業や体験、出会いを受講生に提供していきます。キャッチフレーズは〈もういちど七歳の目で世界を…〉。
 つまり、これは「大人のための学びと出会いの学校」というわけなのです。
 2015年10月に山形県高畠町の廃校(旧・時沢小学校)が最初の1校になって以来、今年の5月までに10校が日本各地に誕生しています。「越知ぜよ!熱中塾」はその11校目になる予定です。

article140_03.jpg越知町の小田町長(左から2番目)も参加の野外会議。

 キャンプ場での野外会議の様子を取材して気づいたのは、一般的な会議だとしばしばまとわりついてくる、あの落ち着かない雰囲気がないこと。ここでは山の緑や空、キャンプを楽しむ家族などいろんなものが目に入るし、鳥の声や風の音(この日は雨音も)がある。無機質な壁と静けさが支配する会議室と違い、いわばざっくばらんな空間。言葉足らずでも、少し的外れな意見でも大目に見てもらえそうな雰囲気だから、思考は大胆に、発言は積極的になれる気がしました。

article140_04.jpg豪雨の下での会議になりましたが……スノーピーク製のタープは一滴の雨粒も通しません。

「高知の自然を使ってもらう一つの手法として、このような使い方もできることを広めていきたい」というのは、『スノーピークおち仁淀川』を使う野外会議や研修を提案し、その企画運営までを請け負う『NPO法人土佐山アカデミー』の吉冨慎作さん。

article140_05.jpgNPO法人土佐山アカデミーの吉冨慎作さんは、山口県の出身だが坂本龍馬好きが高じて高知県民に。

「高知の自然はとても魅力的で、食材も美味しいものが多い。でも自然って、そのままでは見るだけ、食べるだけになりがちです。」
 しかし、豊かな自然は、都会の人に非日常を提供できる価値ある空間でもある。そして、非日常空間での会議や研修を行うことで、プロセスであれ結果であれ、いつもとは違ったものが生まれてくる――吉冨さんたちはそのお手伝いをしているのです。
「ここで、思考や心を開放するようなチームミーティングや会議をしませんか、と提案しています。例えば、キャンプでの焚き火の熾し方一つでも、仲間意識が芽生えてチーム作りができる。それに、焚き火の前では本音が出やすいですよね。経営者から一番下っ端の人まで、自分の考えをきっちり伝えられるのは、もしかしたら会議室じゃなくて、焚き火の前かもしれません。」

article140_06.jpg野外で、という非日常性が、会議を活性化させる。

 たしかに、夜、焚き火を囲めば、少し気恥しいことでも平気で話せたりします。
「これほど素晴らしい清流と山にかこまれた環境はあまりない。スノーピークおち仁淀川を利用した研修や会議に興味を持たれた方は、土佐山アカデミーにご相談ください。」
 タープを叩く雨の音はいつしか小さくなってきた。雨が上がった仁淀の山々から生まれ出た霧は、のたうつ龍のように谷を泳いでいきます。こんな「絶景つきの会議」なんて、めったに味わえないですなあ。

article140_07.jpg


◆NPO法人 土佐山アカデミー

◆熱中小学校について興味を持った方は、ノンフィクション作家滝田誠一郎さんのルポ「熱中小学校の果てしなき挑戦」がおすすめです。

(仁淀ブルー通信編集部員 大村嘉正)
●今回の編集後記はこちら