2019.03.15宇佐さんぽ ~海の町のおいしいものめぐり~

宇佐さんぽ ~海の町のおいしいものめぐり~

昨年は大ヒットナンバー「U.S.A」が日本中を熱くにぎわせましたが、実は土佐市にもじわじわ熱気を帯びている「USA」があるんです。それが宇佐(うさ)町!  今回は宇佐町内を散歩しながらおいしいものをめぐってきました。

 というわけで、やって来ました! 土佐市USAーー!!

article178_01.jpgしおかぜ公園の看板には「USA」の文字。だってここは「宇佐」だもん!
article178_02.jpgしおかぜ公園のくじらのモニュメントもノリノリで歓迎してくれています!

 まもなくシーズンを迎えるホエールウォッチングや、毎年ゴールデンウィーク中に開催される宇佐大鍋まつりが有名な土佐市宇佐町ですが、実は”いい店”もいろいろあるんです。でも、メインの県道から一歩奥に入った位置にあるお店も多いため、意外と行き逃していることも・・・。今回はそんな知る人ぞ知る店をご紹介します。

小さな一品までしみじみおいしい「海町食堂 ヒナサク」

 かねてから「何を食べてもおいしい」との評判を耳にしていた「海町食堂 ヒナサク」。居酒屋としての営業がメインですが、今回は月・火・金の週3回だけ行っているランチ営業におじゃましました。

article178_03.jpgこんな普通の住宅街にお店があるのかしら、と思っていたら・・・
article178_04.jpgカーブを曲がった先で突然現れる、懐かしくもおしゃれなお店。

article178_05.jpg裸電球があたたかく照らす店内。テーブルや椅子の味わい深さが素敵です。

 お昼前だったこともありあたりの住宅街もお店も静かなので、やや緊張しましたが、店に入ると「日替わりだけですけど、いいですか?」と女将さんが優しく声をかけてくれました。返事をするとさっそく食欲をそそる料理の音が聞こえてきます。
 こちらで人気を集めているのは、なんといっても女将さん手作りのおばんざい。季節の食材を一つ一つていねいに料理。自分ではちょっと作れない、それでいてほっと安らぐようなおいしさを楽しめます。そして漁師町らしく魚は地元でとれた鮮度ばっちりのものを提供。この日のランチではその一端を味わうことができました。

article178_06.jpgこの日の日替わりランチ。鉄板に乗った半熟卵焼きとお刺身、小鉢もいろいろ。食後にコーヒーがついて800円の良心価格。

article178_07.jpg漁師町だからこそこの価格でこの鮮度とおいしさが楽しめる!。
article178_08.jpg卵焼きの味付けが絶妙でごはんがもりもり進みました。

 お昼を過ぎると地元内外の人がぞくぞくと来店。さすが人気店!
このおいしさを味わってしまうと、ぜひ夜にも訪れたい気分になります。高知の地酒と一緒に味わうおばんざいや鮮魚・・・想像しただけでたまりませんね!

海町食堂 ヒナサク
住所:土佐市宇佐町宇佐1143-5
電話:088−856−0565
営業時間:ランチ11:30~13:00ごろ(月・火・金のみ)
     17:00~22:00ラストオーダー
定休日:水曜
駐車場:お店の4軒西隣に3台あり
Facebook:https://www.facebook.com/海町食堂ヒナサク-1639171559690377/

お昼におやつに、地元で愛され続ける「千崎製麺」

 さて、海町食堂ヒナサクがある道沿いには宇佐町で長年親しまれているラーメンがあります。それがこちらの「千崎製麺」。
 中華麺やうどんやそばを製造する製麺所ですが、奥のカウンターで調理したものを食べることができ、ラーメン好きの間では隠れた名店として知られています!

article178_09.jpg工場兼住宅兼お店。本当静かに佇んでいます。
article178_10.jpg長細い店内。素朴な雰囲気です。

article178_11.jpgこちらが人気の細麺・あっさりしょうゆ。魚のすり身を揚げた”天ぷら”が入るのが漁師町っぽい。

 はぁ~、やっぱ落ち着く味だ~。スープや具やらにこだわった昨今流行りのラーメンもおいしいのですが、子どものころお腹がペコペコの時にお母さんにささっと作ってもらったあのラーメンの味がします。お昼にガッツリ食べたい方は大盛りも可能。小腹が空いた時に立ち寄って、おやつ代わりにささっと食べていくのもおすすめです。

article178_12.jpg麺とスープの持ち帰りもできますよ。

千崎製麺
住所:高知県土佐市宇佐町宇佐829-4
電話:088-856-2909
営業時間:10:00~18:00
定休日:水曜
駐車場:あり

東京から”おかえりなさい”「マツオカパウンド」

 さて、お次は昨年12月にオープンした「マツオカパウンド」を目指します! その名の通りパウンドケーキをはじめとする焼き菓子専門店です。

article178_13.jpg車一台分くらいの幅の道を歩いていくと・・・
article178_14.jpgありました! こちらがマツオカパウンドです!

 オーナーは宇佐町生まれの女性。10年ほど東京で修行後、Uターンしてこちらをオープンされたのだそう。ショーケースにならぶ数種のパウンドケーキのほか、甘くなく食事代わりや酒の肴にもなるケークサレ、シンプル素材のクッキーなどがあり、テイクアウトや小さなカウンター席でイートインすることもできます。

article178_15.jpgセンスのいい小物と昭和なインテリアが合わさったおしゃれな店内。
article178_16.jpgカウンター席も素敵です。

 イートインで注文したパウンドケーキは軽く温めてくれます。その間、本を読んだり外の景色を見たりしながらウキウキ待ちます。

article178_17.jpg土佐市の陶芸工房・もりたうつわの皿とカップで登場。おしゃれ! でも、それだけじゃない!

 ふわっと優しい口当たり、ほど良い甘さと品良く広がる素材の風味・・・食べているだけで気持ちまで穏やかになっていくような味わいです。温めたことで生まれた表面のさっくり感と生クリームのマッチングも絶妙。ひと切れでトリコになるパウンドケーキです。

 そして、ドリンクもなかなかのおいしさ。私がこの日オーダーしたホットジンジャーは、オーナーさんが生姜をいちから仕込んで作っているのだそう。仕上げに入ったコショウがまたいいアクセントになっていました。 

 ちなみにこちらは元薬局だった建物で、店内には昭和な造りが一部残っています。また、ケース棚の中にはオーナーさんの御祖父母さんの若かりし頃のお写真もありました。かつてこの町にあった風景を思い描けるような、温かみのあるお店です。

article178_18.jpg元々あった水場をそのまま残した店内。もう水は出ませんが雰囲気はしっかり漂っています。
article178_19.jpgお店を見守る御祖父母さん。この写真を見た地元のお年寄りと話が弾むこともあるのだそう。

マツオカパウンド
住所:高知県土佐市宇佐町宇佐1801-3
電話:なし
営業時間:8:00~18:00
定休日:日曜・第3月曜
駐車場:店から一本北の道沿いにあり(詳しくは店頭まで)
ブログ:http://m-pound.jugem.jp

やっぱり食べておきたいあの逸品「宇佐もんや」

 マツオカパウンドさんの近くにあるのが、宇佐を代表するお店「宇佐もんや」です・・・といえば、なんといっても宇佐名物の”一本釣りうるめ”ですね!

article178_20.jpgこちらは県道23号線から北へ入ってすぐの場所にあるので見つけやすいですよ。

 ウルメイワシは全国的には網漁が主流ですが、網を使うと魚同士がこすれて暴れ出し、そこから熱を持って身が焼けてしまうため干物などの加工用として出回るのが一般的です。ところが、宇佐の漁場ではウルメイワシを一本釣りで釣り上げることで、魚同士のこすれを回避。さらに鮮度を保つ様々な努力によって、生食に適したピッチピチのウルメイワシを水揚げすることができるのです。
 そんな”一本釣りうるめ”を地元のおばちゃんが鮮やかに捌いて提供してくれる同店。メニューにあるのは定食中心ですが、今回は他でたくさん食べてきたので「お刺身」の単品をオーダー。メニューにはない注文にも気持ちよく応えてくださいました!

article178_21.jpg桜色の身と鮮やかな血合。そして、銀皮が美しく輝く一本釣りうるめのお刺身です!

 あぁ~っうまいっっっっ! モチッとした歯触り! 臭みはなく、濃厚なのに品が良いうま味とじわっと広がる甘みが噛むほどに広がります! 何回食べても最高です!
 宇佐もんやでは、鮮魚料理以外にも一本釣りうるめいわしのフライや蒲焼き、パスタなどもありますので、そちらもぜひご賞味ください。

article178_22.jpgおいしすぎて、つい写真を撮ってしまいますね。身がキリッと立っていますよ。あぁ最高!
article178_23.jpgお土産に一本釣りうるめいわしのオイルサーディンを購入。ワインを飲みながら丸かじりスタイルで味わうのがおすすめです。

宇佐もんや
住所:高知県土佐市宇佐町宇佐1757
電話:088-856-0019
営業時間:11:00~14:10ごろラストオーダー
     (夜は地元の人向けの居酒屋メニューです)
定休日:水曜・第2・4木曜
駐車場:2台

変わらぬ味とおばちゃんの優しさで43年「焼き鳥ふくちゃん」

 「はぁ~お腹いっぱいになったなぁ~。これ以上は本当に食べられないや!」
と、宇佐を後にしようとしたその時! 私のおいしいものEYESが気になるものをキャッチしました!!

article178_24.jpg交差点の角にある小さな小さなプレハブ小屋・・・あそこにゼッタイ何かあるぞ!!

 近づいていくと・・・おぉ、香ばしい良い匂い! 小屋にかかる日よけをくぐってみると、ハートウォーミングな手書き看板が目に入りました。店の名は「焼き鳥ふくちゃん」。

article178_25.jpg自慢のお孫さんが手書きしてくれたという看板。1本60円!?

 小屋の中には笑顔の素敵なおばちゃんがいて、「はい、いらっしゃい~」と優しく招いてくれました。
 売っていたのは炭火で焼く「焼き鳥」。種類はせせりのタレ味のみですが、その「タレ」がおばちゃんのこだわり。コクのある甘みを出した自家製で、開業から43年間変わらぬ味を守り続けているのだそう。

article178_26.jpg秘伝のタレをたっぷりつけて、炭火で香ばしく焼き上げます。

 お腹いっぱいだからとりあえず1本だけいただいたのですが、タレがおいしくて最終的に20本購入。でも、全然後悔しませんでした。だっておいしいから!
 隣町にある某校の学生さんもよく買いに来るそうですが、卒業後10年ぶりに買いに来て「あの頃と同じ味やね!」と喜んだ人もいたそう。変わらぬ味を守るということは、人々の思い出も守るということなんですね。おばちゃん、ありがとう!

焼き鳥ふくちゃん
所在:「宇佐もんや」から北へ100mの交差点角にあり
電話:なし
営業時間:12:30ごろ〜売り切れるまで
定休日:不定休

 

 というわけで、たっぷり歩いてたっぷり食べた宇佐さんぽ。こんなコンパクトなエリアに新旧多彩なお店があるとはびっくりです。しかも、どのお店も「また食べたいな。また来たいな」と思わせる魅力がありました。県道沿いに広がる海の景色もとてもキレイです! みなさんも、ふらり宇佐さんぽに出かけませんか?

(仁淀ブルー通信編集部/高橋さよ)
●今回の編集後記はこちら