2021.04.09川遊び山遊びの基地にも? 仁淀川町に滞在型シェア&ゲストハウスが誕生!

川遊び山遊びの基地にも? 仁淀川町に滞在型シェア&ゲストハウスが誕生!

 仁淀ブルーのお膝元、仁淀川町池川地区の土居川は、車を止めるとすぐ自然に触れることができるキャンプ場や公園が整備されており、多くの人が訪れています。この池川の街のにぎわいから離れ、ほんの少し山を登った相ノ谷の集落にこの春オープンしたばかりのシェア&ゲストハウス「山茶小屋(やまちゃごや)」があります。

 池川の市街の入り口から車で山あいの道を進むと、目の前に茶畑が広がり、仁淀川町が高知県を代表するお茶どころであることを実感します。さらに細い山道を5分ほど登ると山裾にいくつもの建物が見えてきます。

article246_01.jpg 斜面に茶畑が広がるのどかな風景。仁淀川町は高知県中央部、愛媛県と背中合わせの中山間の町で有数のお茶の産地。

article246_02.jpg 山茶小屋への入り口の看板。

article246_03.jpg 山あいの傾斜地にいろいろなデザインの7つの建物が建てられている。

 これが「山茶小屋」。一般社団法人山茶小屋が管理する仁淀川町の移住交流拠点施設で、移住者向けのシェアハウスを含む多目的施設です。山の斜面に建物が全部で7棟あり、その中の2棟がシェアハウスになっていて、部屋数は合計8室。期限付きの賃貸お試し住宅として利用されていますが、現在空いているのは1室だけ、というほどの人気です。
 他の棟には簡易宿泊ルームが3室あり、1泊から1か月までの短期滞在に対応しています。移住先の下見や観光、引っ越し前の一時滞在、シェアハウスの訪問客の宿泊所として利用されています。室内にはデスクが常備されているので、ワーケーションの拠点や仕事部屋としての利用も可能です。

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article246_04.jpg シェアハウスの建物の外観。

article246_05.jpg 内部の様子。キッチンとリビングテーブルが常備。

article246_06.jpg ゲストハウス棟の廊下。いちばん手前の部屋が管理事務所になっています。

 山茶小屋の施設は以前学校として使われていました。居住型・全寮制のフリースクールとして全国から生徒を受け入れていた「池川自然学園」です。その学校が平成26年に廃校となり、その後改築・リフォームされ、地域住民と移住者との交流の場所として再利用されているのです。
 敷地内には、宿泊棟・食堂棟・多目的ホールなどがあり学校時代に使われていた建物を活かしイベント会場や事務所としてリユースされています。移住者がいろいろな業態で起業にチャレンジすることを想定して、事務所やアトリエ、作業スペースとして使える部屋や、飲食関係に使える食堂棟もあり、開業準備や試作、テスト販売などにチャレンジしやすい環境が整っています。

article246_07.jpg奥野さんが経営する「やまのうえカフェ山茶」が入っている食堂棟。

 仁淀川町地域おこし協力隊の奥野大地さんは、食堂棟を使って「やまのうえのカフェ山茶」を週2日だけ開業しているのですが、1日4時間の営業でスィーツが売り切れてしまうほどの人気ぶり。カフェのお客さんは地元の方が多いそうですが、移住者と地域住民の交流の場にもなっていて、自然豊かな場所で美味しいコーヒーとスィーツで癒やされながら話をしているうちに思わぬコラボが生まれ、商売につながることもあるとか。ちょうどこの日は仁淀川流域の3つの町の地域おこし協力隊の皆さんが集まり、商品開発のミーティングと試作が行なわれていました。

article246_08.jpgカフェでは仁淀川町、越知町、佐川町の地域おこし協力隊員が商品開発のミーティング中。

 じつは「山茶小屋」は施設だけでなく人も面白い。スタッフは全員が別の本業を持ちながら運営に関わっています。施設全体の管理を担当している事務局長の山中智賀(ちか)さん(この名前で男性)は仁淀川町の元町民で本業は神官。そして事務とアドバイザー業務を担当する私(西脇亜紀)は関西圏からの移住者で、アユの川漁師とハンドメイド作家が本業。そして施設内の植栽管理を担当する”草はらの番人”こと中島道雄さんは地元の住人で定年退職後、役場の当直と山茶小屋の掛け持ち勤務で、雨の降っていない日は敷地内のどこかで座って趣味の草引きをしている(笑い)。

article246_09.jpg私の職場から見える風景。緑の濃い仁淀の山々を眺めながらの仕事です。

 グランドはまだまだ未整備ですが、近々キャンプ場として整備する予定があるそうで、コンセプトは「自然と向き合うキャンプ場」。きっと満天の星空が望めるステキなキャンプ場になることでしょう。

article246_10.jpgこの日、事務所前では移住者と地域住民の交流もおこなわれていました。

 山茶小屋のFacebookの中で私はいつも「この施設は未完成です」と発言しています。それは利用する人それぞれが自分の大切な場所としてここを完成させてほしいから。散歩が日課の地元の方々には健康維持の場として、移住者には人生の再スタート地点として、そして、カフェやキャンプ利用の方には自然豊かな魅力的な場所として。
 そして、移住者の私にとっては、常に他人から刺激を受け、初心に返って頑張ろうという気持ちをかき立ててくれる大切な場所として。

article246_11.jpg“草はらの番人”中島道雄さん手作りのミニガーデン「憩いの場」。

 「山茶小屋」はこの春本格開業したばかりですが、居心地がよく滞在しやすい施設として多くのひとたちに喜ばれ、末永く営業できるようになるといいなあと願っています。

◆山茶小屋
https://www.yamachagoya.jp/

(仁淀ブルー通信非常勤通信員 西脇亜紀)

★次回の配信は4月23日予定。
「椿山で大学生たちが限界集落の暮らしを体験(1)」をお届けします。
お楽しみに!

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