2020.09.11「リバーサイドキッチン」 第2回「鮎とちりめんじゃこ・オクラの冷製スパゲティ・池川スタイル」
今年6月19日に配信された「パエリア・ニヨドリバーナ」に続き、第2回目となるリバーサイドキッチン。 今回の訪問地は仁淀川町・池川地区。釣れたての鮎を贅沢に使用したスパゲティ作りの様子を、 美しい景色と一緒にお届けします。屋外でスパゲティ、それも冷たいものが作れるの? と驚く方もいるでしょうが、 大丈夫です。今回もRKC調理製菓専門学校の島村昌利校長が秘伝の「ちゃっちゃっとレシピ」を惜しげもなく披露してくれました。今回のキッチンは仁淀川支流の清流・土居川の河原です。 残暑を乗り切る冷製爽やかスパゲティ・池川スタイル、アユの香りとともにお届けします。
仁淀川に向かう前にまずは越知町の「観光物産館おち駅」で食材探し。ここには毎朝、新鮮な地元の野菜が並びます。
「おち駅」から車で約30分、今回のリバーサイドキッチンの目的地・仁淀川町池川地区、 ちょうど安居川と土居川の合流地点に到着です。空には真っ白な夏の雲、 商店や民家が土居川にせり出したように並ぶ特徴ある池川の街並み、橋の上をゆっくり走るバス。まるで宮崎駿の作品世界のように時間がゆっくり流れます。
午前9時過ぎ、夏休み真っ只中の土居川には友釣りに夢中になっている釣り師が数名、流れの緩やかな瀞場(とろば・そこだけ流れが緩やかになっているところ)で歓声を上げているのは、地元の小中学生の”仁淀ブルーな川ガキ” 集団。池川には30年前にタイムスリップしたような古き良き日本の風景が残っています。
美しい景色をバックに、調理の準備を始めます。今回のメニューは、「鮎とちりめんじゃこ・オクラの冷製スパゲティ・池川スタイル」。池川と付いているくらいですから、 ここでしかできないメニューにしなければいけません。そこで今回は目の前で釣れたばかりの土居川の「活け鮎」を使うという超ぜいたくな仕掛けを用意しました。届けてくれたのは、 仁淀川を拠点に友釣りの鮎だけを扱うプロの鮎漁師、西脇夫妻。支度中のキッチンの勝手口に届けられたのは(笑い)、1時間前に目の前で釣り上げたばかりのピチピチ元気な鮎。サプライズな演出に撮影慣れした島村校長もびっくり。「こんな素晴らしい食材でおいしい料理ができないはずがない」ときらきら目が輝いています(笑い)。 活け鮎は、キンキンに冷えた氷水で「氷締め」してから使います。
食材の仕入れが完了したところで調理開始。今回使用する食材(2人分)をまとめて紹介します。
〈食材〉
・スパゲティ(150g)
・ちりめんじゃこ(30g)
・鮎(2尾)
・オクラ(4本)
・大葉(4枚)
・梅干し(2粒)
・麺つゆ(大匙1)
・きざみのり(適量)
・青葱(2本)
・柚の酢(大匙1)
・オリーブオイル(大匙2)
・唐辛子(1/2本)
・おろしにんにく(小匙1)
・塩、胡椒(少々)
ガスコンロを準備し、最初に鮎を塩焼きにします。鮎はあらかじめ下処理をしておきます。と言っても鮎は内臓まで食べられる魚なので、お腹を絞り脱糞させ、軽く塩を振るだけです。
鮎を焼くときは、写真にあるような魚焼き網があると便利。新鮮な鮎独特のスイカの香りが次第に食欲をそそる香ばしい匂いに変わってきました。鮎は、頭と骨を外してスパゲティに添えるので、火をしっかり通します。
鮎を焼いている間に、スパゲティと和えるソースを作ります。まずは野菜を切ります。オクラは斜めに、大葉とねぎ、梅はみじんに。
フライパンにオリーブオイル、唐辛子、にんにく、ちりめんじゃこを入れて炒めたら、オクラと水を少々、麺つゆ、梅干しを加えて味を調えます。オリーブオイルとニンニクのいい香りが土居川の河原に漂い始めましたよ。
出来上がったソースはボールに移し、ひとまわり大きなボールに作っておいた氷水で冷やします。
続いてスパゲティの準備。近くに水道がない場合は、あらかじめ水を準備しておきましょう。スパゲティは茹で時間が短いものを選びます。茹で水にはあらかじめ多めの塩を加えておきます。水が沸騰したらスパゲティを投入します。茹で上がったスパゲティは氷水で締めるので、 温かいスパゲティに比べて少し長めに茹でること。こうすることで食感が良くなります。
スパゲティを茹でている間に、少し川の中を覗いてみましょうか。水の透明度が高いことは言うまでもありませんが、仁淀ブルーの美しい水の中を泳ぐ魚の姿には見るたびに心を奪われます。鮎、カワムツ、ウグイ、モツゴ、カマツカなど清流の代表的な魚たちのほか、シオカラトンボのヤゴやカワゲラなど水生昆虫も確認しました。
茹で上がったスパゲティは、氷水で締めます。よく冷えたスパゲティを冷やしておいたソース、刻んだネギ、大葉、柚の酢と和えていきます。
「食べる直前に柚の酢を加えるのがコツです。こうすることで食べた時に柚子の酸味と香りが際立ちます」(島村さん)。
ソースとスパゲティを和えたら、焼いてあった鮎の身と一緒に盛り付けます。さっきまで目の前を泳いでいた鮎が、お皿の上でお洒落な料理になりました。
キッチンが川のそばなら、ダイニングは川の中へ。なんと、浅瀬に机と椅子を並べて、足元を仁淀ブルーの水が流れる水上レストランの出現です。
早速、仁淀川の景色と一緒にいただきます。焼けるような日差しを忘れるくらい爽やかな柚子の香りが口いっぱいに広がります。ひんやり冷たいので、 食べた瞬間に体内温度が0.5度くらい下がるのが確認できます(笑い)。鮎の風味と程よい塩加減がなんとも絶妙な風味を醸します。
「屋外でスパゲティを作るのは初めてだけど、意外に簡単だったね。こんな美しい景色を見ながら食べるのも初体験。この前のテレビ収録で作ったときより美味しく感じるよ(笑い)」(島村さん)。
「今回は釣りたての鮎を使ったけど、高知ならばスーパーに並んでいるものでも十分に美味しくできる」(島村さん)。
せっかくなので、活け鮎を提供してくれた西脇夫妻にも試食していただきました。
「ひゃー、うまい! まさかこんなところで自分が釣った鮎を食べるとは思わなかった」(旦那さん)
「塩焼きだけじゃなくて、こんな素敵なパスタ料理にもなるなんて」(奥さん)。
ここで西脇夫妻のご紹介。おふたりは友釣りで釣った鮎を、料亭や個人向け(ネット通販)に販売している他、友釣りの体験教室も行っています。丁寧なレクチャーで素人でも簡単に友釣りができるようになると大人気です。詳しくはこちらを。
最後に、島村校長に今回の感想と今後の構想をお聞きしました。
「河原が気持ちよかったね。ガスコンロと鍋やフライパンひとつを持っていくだけで気軽にアウトドアクッキングができる場所がいっぱいあるのが高知のいいところだよね。あ、料理をするなら水を確保できる場所を近くに確保しておくことをお勧めします。今回のスパゲティは柚の酢を最後に入れるのが一番のポイントかな。柚子の酸味が利いてさっぱりとして爽やかになります。次回は12月で少し寒くなっているだろうから、温かい鍋ものにでもチャレンジしようかね」
おっと、リバーサイドで鍋もの。いったい何が飛び出すのか、超楽しみです。
(仁淀ブルー通信編集部員 仲田和生(なかだかずき) )
★次回の配信は9月25日予定。
「堀見和道佐川町長の鮎友釣り初挑戦に密着!」をお届けします。
お楽しみに!
●今回の編集後記はこちら