2020.05.08日高村の低山でプチ修験者になってみよう!

この春、日高村観光協会で新たに始まった体験プログラム「修行の1日体験」。いったいどんなアクティビティなのか? その舞台となる大滝山の魅力と共にお伝えします。
高知県内で最大級の湿地として知られる日下調整池。それを南から見守るのが大滝山(標高247m)です。日高村総合運動公園にある登山口から山頂へは約40分の登山になります。

麓から見上げるとごく普通の低山ですが、山中には大岩が点在し、南東のふもとには猿田洞が口を開けているなど、登っていけば独特の地形や景観に出合います。山の霊気というのでしょうか、ここで一人たたずむと、うまく表現できない気配が心をさわります。

古来よりこの山は「修験道の山」として知られてきました。修験道というのは山岳地で修業に励むことで悟りを得るという宗教。修験道の人=修験者ですが、「山伏」といったほうがわかりやすいかもしれません。

ところでみなさん、山伏に会ったことはありますか?
登山歴35年の私でも目撃4回(ちなみに野生のヒグマは7頭見た)なのですが、かつて山伏はメジャーな存在だったらしい。明治5年には、日本の人口3300万人(推計)に対して、一説によると山伏は約17万人。つまり200人に1人ぐらいが山伏! にわかに信じがたいけれど、例えば四国・愛媛県の瀬戸内海沿岸地域だけでも山伏の寺は143あったそうです(愛媛県生涯学習センターデータベース「えひめの記憶」より)。

大滝山の修験道は、江戸時代後期に最も盛んでした。しかし、明治5年の「修験道廃止令」により、その後、山伏は姿を消してしまいました。時は流れて1945年、敗戦によって新しい日本となり、修験道も活動自由になりましたが、山に山伏の賑わいは戻らず。信仰とは無関係に山を楽しむ時代になりました。

山伏の姿は稀になったけど、山伏を惹きつけたものは変わらず。大滝山の山頂直下は比較的開けた地形で、そこに大小の岩場が点在。くぐり抜けられる岩のトンネルや洞窟もあります。枝葉そよぐ森、足のすくむ岩のてっぺん、ひんやりとした岩のはざま、地中の闇など、五感を研ぎ澄まして自然と対話できるスポットがそこかしこに。山伏のように「悟りを開く」とまではいかなくても、自分を見つめなおすことはできそうです。

大滝山のルートガイド
里の低山ということもあり、登山道や大滝山頂上を記した大滝山の地図はありません。登山道はよく整備されていますが、枝道がいくつかあり、迷いやすいところもあります。順を追ってルートを紹介していきましょう。












いつもの日々が戻ったら、「修行の1日体験」を

この大滝山での体験プログラムが用意されています。それが日高村観光協会主催の「自分を見つめなおす修行の1日体験」。大滝山のふもとにある修験道のお寺「護国寺」のご住職のガイドで山のパワースポットを巡り、法話を聞き、洞窟の闇で瞑想を行うというもので、修験道のことを知るめったにない体験が待っています。

残念ながら新型コロナウイルス感染症への対応のため、現在この体験プログラムは一時中止に。でも、厄災が過ぎたら、新しい一歩を大滝山から始めてはいかがでしょうか。
(大滝山登山については3月9日に取材しました。)
■大滝山登山情報
・大滝山の登山道にトイレと水場はありません。トイレは日高村総合運動公園で済ませ、飲み物は持参しましょう。
・登山地図はないが、日高村観光協会(村の駅ひだかに隣接)で略地図を載せたパンフレット「日下調整池周辺マップ&体験プログラム」を配布しています。
・アクセス/大滝山登山口はJR土讃線岡花駅から徒歩20分。車利用の場合は日高村総合運動公園の駐車場へ。
■日高村観光協会
(仁淀ブルー通信編集部員 大村嘉正)
★次回の配信は5月22日予定。
新連載「仁淀川ボタニカルスケッチ散歩1」をお届けします。
お楽しみに!
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