2020.02.21【アンコール記事】<仁淀川野鳥生活記>5 仁淀ブルーに輝くカワガラス(2018.12.21配信)

【アンコール記事】<仁淀川野鳥生活記>5 仁淀ブルーに輝くカワガラス(2018.12.21配信)

仁淀ブルー通信では2018年度に仁淀川流域の自然や生き物を撮り続けてきた高知在住の2人の写真家によるシリーズを連載しましたが、今回は野鳥写真家・和田剛一さんの<仁淀川野鳥生活記>5の「仁淀ブルーに輝くカワガラス」を再録します。新たにこれからの季節、渓流でカワガラスに出会うコツについて和田さんのコメントを追加しています。
カワガラスは全身焦げ茶色の、色具合としては地味な鳥と言えます。しかし、鳥に興味の無い人でも、田舎では、すぐに話が通じるほど誰でもが知っている鳥でもあります。日がな一日、川の流れに浮かび、潜っている姿は、よほど印象に残るのでしょう。川が無ければ生きられないほど川に依存し、川の暮らしに特化したカワガラスの姿をご覧ください。



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カワガラスは、スズメやカラスの仲間のなかでは、ただ一種だけ水に潜り、水中を自由に動くことができます。水中に潜ると、全身を薄い空気の膜が被い、空の光や水の青を反射して、別の鳥のように輝いて見えます。上の写真は、光を反射して全身銀色に包まれています。

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仁淀川流域のなかでも、透明度が高いことで知られる安居渓谷の上流部の淵に潜るカワガラス、仁淀ブルーを反映して別の鳥のように見えます。水中から見るカワガラスは、とても魅力的です。

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カワガラスは、沖縄を除く全国の川の中流部より上流に住んでいます。そこで、サワガニや小さな魚、水生昆虫などを食べています。川を覗くと、水中の小石がひっくり返されて白く輝いている光景に出くわすことがあるかもしれません。それは、カワガラスが餌を探した跡なのです。

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カワガラスは、どんなに流れが強い場所でも流されることはありません。水流を巧みに操り、川底を歩いたり、空を飛ぶのと同じように、羽ばたいて水中を飛ぶこともできます。

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上の写真左は、ニンギョウトビケを捕らえたところ、砂を固めて作ったミノムシのような殻の中の幼虫を上手に取り出して食べます。右はカワゲラの仲間。いちど、カワゲラが羽化してひらひら飛び立っているのを空中で捕らえているカワガラスを観察したことがありますが、カワゲラが川筋から外れて山側に飛んでいくと、なぜか捕まえるのを諦めていました。そこまで川に義理立てしなくても、とひとり笑ってしまったものです。

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雨模様の秋の安居渓谷でサワガニを捕らえたカワガラス。

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ハサミを持ったサワガニや鋭い牙をもった孫太郎虫(ヘビトンボの幼虫)などは、なんども石に打ち付けてから食べています。危険に対する防御も身につけているものですね。

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川に依存して生活しているカワガラスは、子育ての巣も、滝の裏側や川にせり出した岩の隙間などに作ります。巣の材料は、ほとんどがコケで、オスメス協力してドームのような形状の巣を作ります。

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巣は、水面から数メートルほど上に作るのですが、土佐は雨の多い土地柄でもありますので、時には、増水で巣が流される悲劇も起きてしまいます。写真の巣も、親鳥は必死で餌を運んでいるのですが、濁流は巣を呑み込む寸前まで迫っています。

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無事に巣立ったヒナは、すぐに泳ぐことも潜ることもできます。親鳥にくっついて後を追い、餌をもらいます。

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兄弟仲良く親鳥がえさを探すのを眺めています。こうして、2週間ほどは親鳥から餌をもらい、いろいろな経験を積んで独り立ちしていくのですが、川は狭いので、独り立ちしてから自分の居場所を見つけるのは大変だろうと想像できます。若者たちに幸あれです。

◆春の渓流でカワガラスに出会うには?◆
カワガラスは「渡り」をせずに一年中同じ場所で生活する留鳥です。トビケラ、カワゲラ、カゲロウ、ヘビトンボなどの渓流に生息する水生昆虫やサワガニを主食にしているので、渓流がないと生きられない野鳥でもあります。仁淀川でいえば越知町よりも上流の荒瀬がある本流、あるいは支流を生活の場にしています。繁殖期に入るこれからの季節はナワバリを主張して活発に動くので見つけるのはそれほど難しくありません。渓流釣りをしながら川を遡ればほぼ確実に会えます。逆にこの鳥を知らない渓流釣り師がいたらそれはモグリですね。運が良ければ苔でつくった巣を水際で見つけることができるかもしれません。(和田剛一)

★次回の配信は2月28日予定。
「高校生通信員スペシャル・伊野商業高校編」をお届けします。
お楽しみに!

(野鳥写真家 和田剛一)
●今回の編集後記はこちら