2018.12.07仁淀ブルー「絶景ティーブレイク」第3話 ~流木焚き火コーヒーの喜び~
仁淀川には、都会ではまず不可能なコーヒーの楽しみ方があります。それが「流木焚き火コーヒー」。仁淀川の河原では、熱いコーヒーを入れるのに電気もガスも必要ないのです。
仁淀川とその支流にあるものといえば広い河原。そして河原には豊かな資源、流木が眠っています。
実は私、仁淀川流域の取材では息抜きにコーヒーを楽しむことが多く、そのとき相棒になってくれるのが流木。それは小さな焚き火となり、湯を沸かしてくれます。
コーヒーの豆を挽き、ドリップするという手間には、「芳醇なアロマを独り占め」というご褒美があります。では、「流木を集めて焚き火を熾す」という手間が与えてくれるものは?
私の場合は、「人生の喜びって、近くにあるし単純だな」という、なんというか「気持ちのリセット」みたいなものでしょうか。
流木焚き火コーヒーでは毎回、自分の中心が定まるような安心と、じんわりとした満足を感じます。それは焚き火が、大昔から生きることに欠かせないものだったからだと、私は思うのです。
流木に着火できたときの喜び、火を育てるときの心地よい緊張感、炎を眺めているときに訪れる安らぎ……。流木の焚き火によって浮かぶ感情は、人類として太古からの受け継いできた遺伝子の「ささやき」なのかもしれません。
私の流木焚き火コーヒーの理想は、コーヒーの余韻が消えていくころ、焚き火も落ちていくこと。そして、流木の量や火をコントロールして、完全に燃え落ちることにもこだわっています。このときも、白い燃え殻はかすかな風で崩れ、河原の砂に戻っていきました。そしてコーヒーのアロマのかわりに、焚き火のスモーキーな香りだけが河原に残りました。
●今回のコーヒー豆
仁淀川のライバル(!?)、日本最後の清流四万十川の源流部にある「コーヒー7不思議」の「四万十川源流点ブレンド」をセレクトしました。「こんな山奥で、怪しい」という先入観が、「こんなうまいコーヒーがなぜここに!」という感動に変わるコーヒーショップです。店主の山本歩さんは屈指のロースターとしてコーヒー業界では知られた人物。高知県のみならず、四国のコーヒー好きは足を運ぶべきお店です。
◆コーヒー7不思議
(仁淀ブルー通信編集部員/大村嘉正)
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