2018.05.18今年の仁淀川、アユが乱舞しているらしい
初夏の恒例、アユの特別採捕に参加してきました。
さて今年の仁淀川、アユはたくさんいるかな? 元気かな?
スイカやキュウリに似た独特の香りに包まれていることから、『香魚』とも記される清流の女王・アユ(鮎)。秋に下流域で孵化し、海へと下って年を越し、春になると生まれ故郷の川を遡ってきます。太古の時代から続いてきた自然の営みですが、さて今年はどうかな?
5月13日、期待と不安が入り混じるなか、仁淀川でアユの特別採捕が行われました。
仁淀川でのアユ漁の解禁は6月1日から(なげ網や大正網などの漁は6月15日から)ですが、それより前に行われるのがアユの特別採捕。黒瀬や片岡など4か所のアユ釣りスポットで、各30分間、川に潜ってアユを数えたり、友釣りでアユを捕獲して、生息状況や成長のぐあいなどを調べます。
この日の天候は雨で、ときおり視界が霞むような激しさになりました。川の水温は14~15℃と低め。
潜水調査班からは、「アユはたくさんいます。でもナワバリをもつまでに育ったアユはまだ少ない」との報告があり、全長(体の最前端から尾鰭の後端までの長さ)8~10cmぐらいのものが多いとか。‟自分のナワバリの侵入者に体当たり”というアユの習性を利用した友釣りには厳しい状況です。
しかし「雨で撤収するのは根性無し(雷は怖いが)」と豪語する地元のアユ釣り名人8名は、30分という限られた時間で、黒瀬で19匹、片岡で16匹と、コンスタントに釣り上げていきました。今年の仁淀川のアユ漁、どうやら期待してもよさそうです。
ところで、2016年のアユの特別採捕では、黒瀬で釣れたアユはたった1匹でした。なぜ、年によってアユの生息状況がこんなに変化するのでしょうか。
今年については、
「2017年秋のアユの産卵期に仁淀川が大増水しなかったので、卵が流されることなく順調に孵化した。」
「途中で流れが分断されることなく、仁淀川が海までつながっていたため、孵化したアユの仔魚が順調に太平洋へと下れた。」
「海水温が低めだったことで、アユが海で暮らしているときの餌であるプランクトンの発生に、よい影響があったようだ。」
「海から仁淀川に戻る(遡上する)タイミングで適度に降雨があり、川の水量がいい感じに増えてくれた。」
などにより、アユの遡上・生息数の増加につながっているとのこと。
つまりは、そこそこの降雨や冬らしい寒さなど、適度で安定した気候――われら人間にとっても大歓迎――がアユの一生を握っているらしい。アユの特別採捕で得られるデータは今年の漁を占うものですが、それだけではないのかもしれません。地球温暖化によって、集中豪雨など極端な空模様が増えている昨今では、我々人間の暮らしにもなにかを教えてくれるような気がします。
この日のアユ特別採捕の調査結果は、仁淀川漁業協同組合ホームぺージに掲載予定です。
(仁淀ブルー通信編集部 大村嘉正)
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