2017.05.12釣り師を楽しませてくれる渓谷の「ひとりお花見」

釣り師を楽しませてくれる渓谷の「ひとりお花見」

ひと月遅れの花見ができる極秘スポットを紹介。ただし、その下で花見酒とはいきませんが。そのかわりに仁淀ブルーの水音を聞きながらの至福のひとときが味わえます。

 仁淀川をホームグラウンドにする渓流釣りファンの1年のスタートは3月1日。この日がアメゴ(アマゴの地方名)釣りの解禁日だからです。でも、この時期の渓谷はまだ冬の気配が色濃く残っていて、周囲の森や集落のたたずまいもまだ冬の顔をしています。
 私が通い詰めている(笑い)仁淀川支流・上八川(かみやかわ)川の水温もこの時期はまだ15度を切っていて、手がしびれるほど。遊び相手のアメゴの活性も高くないので、この時期はエサ釣りがメインになります。
 西洋式の毛ばり釣りスタイルでアメゴに遊んでもらっているFF(フライ・フィッシング)派の私の場合、1年のスタートはもっと遅くて、だいたいゴールデンウイークあたりになります。毛ばりは水中から羽化する水生昆虫(カゲロウやトビケラ)の成虫を真似て作られているのですが、ある程度水温が上がらないと羽化が始まらないのです。
 「ゴールデンウイークあたり」と書いたのは、自然界の営み(この場合は水温の上昇)は、天候にも左右されるので人間のカレンダーどおりには運ばないからなんです。でも、絶対にはずれない毛ばり釣りの「GOサイン」があります。それは渓谷に咲くフジの花です。

article082_01.jpg仁淀川上八川地区は山桜の花見とフジの花見の両方が楽しめる棚田の里です。
article082_02.jpgひとつひとつの花は小さくてもまとまると鮮やかな紫の花房になります。
article082_03.jpg水面の毛ばりばかりを凝視していると気付かないフジの花。上から静かに釣り人を観察しています。

この「開花のサイン」さえ見逃さなければ、ほぼ間違いなく素晴らしいアメゴの毛ばり釣りが約束されます。
ですからこの時期の仁淀川のアメゴ釣りは「釣り」と「花見」の両方が楽しめます。
桜の花見酒で浮かれる俗世間に背を向けて、ひとり渓流で約1か月遅れの花見を楽しむ。アマノジャクな私らしい、ひねくれた花見といえましょうか(笑い)。

article082_04.jpgこの時期、津賀谷の里を彩るもうひとつの紫色の花、桐の花。
article082_05.jpg水辺には鮮やかな黄色の花。名前は不詳。

 ちなみにアオリイカ釣りが専門の私の釣りバカ仲間(失礼!)は、町中のキンモクセイの開花をアオリイカ釣りの「Goサイン」に決めています。キンモクセイの花が海の中の様子を教えてくれるってわけです。自然というのはなんとも奥深くて面白いですね。

 今回紹介した仁淀川上流の上八川地区は「津賀谷(つがのたに)の棚田」でも有名です。フジの花見のついでに寄ってみてください。また一昨年、2015年9月15日配信の仁淀ブルー通信でも紹介しています。

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<おまけ情報>
全国の棚田を紹介しているこんなブログを見つけました。
「日本棚田めぐり」
津賀谷の棚田も紹介されています。

(仁淀ブルー通信編集長 黒笹慈幾)
●今回の編集後記はこちら