2017.01.27自称ブンタニスト、神の谷で文旦収穫を初体験するの巻

自称ブンタニスト、神の谷で文旦収穫を初体験するの巻

つやつやと輝く黄金色の外皮を剥き、はちきれんばかりの薄皮をそぉっとひらけば…爽やかな果汁いっぱいのプチプチ果肉! 口の中に広がる甘みの後から追いかけてくるほのかな酸味! 高知の冬の果物の王様、そう、文旦です!今回は、今まさに収穫シーズン真っ盛りの文旦農園におじゃまし、収穫体験をしてきました!

三度の飯より、と言えば嘘になるけど、でもそれと同じくらい文旦が好き♡ 冬は一日一玉ペースで文旦を食べる自称ブンタニストのワタクシ。だけど、文旦って食べるばかりで収穫したことがない・・・それじゃあブンタニストの名が廃るじゃありませんか! ということで、行ってきました文旦収穫体験 in 土佐市。


高知県は、西は宿毛市にはじまり、四万十町、佐川町、土佐市など各地で文旦が栽培され、その収穫量は全国シェア1位。文旦は柚子と並んで高知を代表する柑橘類なのです。今回は文旦発祥の地とされ、県内生産量1位(ということは国内生産量1位)を誇る土佐市におじゃましてきました。アテンドしてくださるのは、 “地域の小さな産業やモノ・コト・ヒトに光をあてる”をコンセプトに、土佐市の魅力を発信するプロジェクト「土佐市観光Style」の合田裕子さん、そして収穫体験させてくださるのは、文旦農園「こうちファーム」さんです。

article_06702.jpg土佐市の魅力を知り尽くした合田裕子さんと、こうちファーム5代目園長・森田修平さん。

園長の森田さんは代々続く文旦農家に生まれたものの、一度は東京に出てIT系企業に就職。しかしおじいさまが亡くなったことを機に土佐市にUターンし、2011年に農園を継ぎました。以来、「高知のおいしい文旦でお客様を元気にしたい!」をモットーに文旦づくりに励んでいます。そんな森田さんの姿に共鳴した合田さんが、土佐市観光Style独自の体験プログラムとして実施しているのが、この収穫体験なのです。


こうちファームは神の谷と呼ばれる神谷(こうだに)地区にあり、日当たりと水はけの良い南向きの急斜面で文旦を育てています。そのため農園への移動手段は、年季が入ったハンドメイド感あふれるトロッコ!

article_06703.jpg私の体重に耐えられるのか…。一抹の不安を抱えながらいざ出発!

薄暗い山道をトロッコはグングンと突き進んでいきます。落っこちないように&生い茂る草木に頭をぶつけないように注意しながら竹林を抜けると、そこは一面の文旦畑! 空の青、木々の緑、そして文旦の黄色が鮮やかなコントラストを描いていました。そこからの眺めはまさに神の谷の名にふさわしく、神秘すら感じさせます。

article_06704.jpg山からの眺め。見てのとおりかなりの斜面。
article_06705.jpg振り向けばそこには鈴なりの文旦! ブンタン! BUNTAN!
●トロッコからの眺めを動画でもどうぞ(00:42)

まずはじめに森田さんから剪定方法についての説明があります。剪定時に気をつけることはふたつ、「剪定ばさみはカーブ部分が上向きになるよう持つ」「必ず二度切りする」。二度切りとは、初めに文旦のヘタから1〜2cmほど枝を残して切り、その後ヘタギリギリで枝を切り落とす二段階の剪定方法です。不安定な足元で枝葉を避けながら剪定するのは難しく、実を傷つけないための言わば心遣い。文旦をきれいな状態で消費者に届けるために、こんな手間がかかっているのだと感動しました。

article_06706.jpgこの日はカミオカの他に2名の参加者さんがいらっしゃいました。
article_06707.jpg森田さんのレクチャー。面倒でも二度切りは絶対!

そしてついに収穫開始! 「どれでも好きなものを切ってください〜」とカゴを2つ渡されます。「皆さんどれを採るか悩まれるんですが、最終的にはすべての文旦を収穫しないといけないので、迷うことなくどんどん切っていきましょう!」と森田さん。では、遠慮なく!

article_06708.jpgヒャッホーイ! ブンタニストにとって夢の光景!

わさわさと生い茂る葉をかき分け、実際に枝にハサミを入れてみると…か、固い! 切るのに意外と力が要ります。改めて手のひら全体にグッと力を込めて一息にパチン! そして皮を傷つけないよう注意しながら残った枝を切り落とします。ふぅ。農園の皆さんは、これを毎日何十個何百個と剪定しているのですね…。そのうえ、どこもかしこも斜面なので、足を滑らさないようかなりの体幹を要します。腹筋も腕もプルプル!

article_06709.jpgまずは枝を残して切り離し…
article_06710.jpgヘタギリギリにカット
article_06711.jpgこの体勢を保つのも結構キツイ!
article_06712.jpgすぐにカゴいっぱいになりました。

収穫した文旦はすぐに出荷するのではなく、ムロと呼ばれる野囲いで1ヶ月半程度追熟させます。こうすることで酸味がまろやかになり、あのなんともいえない甘酸っぱさに仕上がるのです。農園内には、木枠で囲った中に文旦を入れたムロがそこかしこに。その姿はまさに文旦のプール! あああ、このプールに飛び込んで文旦にもみくちゃにされたいなんて不謹慎なことを思った私をお許しください。

article_06713.jpgこの上に藁をかぶせて追熟。文旦の爽やかな香りが辺り一面に広がります。

カゴ2つをいっぱいにしたところで、森田さんのおかあさまからお茶やお菓子のふるまいが。冷えた体をホットドリンクでほぐしながら、みんなで文旦トークに花を咲かせます。ここでなんと、先ほど収穫したばかりの文旦の試食が! 先に書いたとおり文旦は追熟期間を要するため、収穫直後の実は市場に出回ることのない超レアな存在。果肉はピンと張り、頬張るとフレッシュな果汁が飛び出てきます。確かにいつも食べている文旦に比べるとまだ酸っぱさが立っていますが、参加者満場一致で「これはこれでアリ!」。甘さ控えめだから、サラダに入れてオリーブオイルと塩で食べたらおいしいだろうな…と妄想が膨らみます。

article_06714.jpgもぎたてを食べられるのも収穫体験ならでは。
article_06715.jpg農園スタッフさんたちもティータイム。

ここで、こうちファームの春夏秋冬について教えてもらいました。

森田さん
「春は新芽や花を間引きするいわゆる摘花を行い、その後は受粉交配作業を行います。文旦は自家受粉(文旦同士で受粉すること)だと質が落ちるので小夏の花粉を用いるのですが、それを一つ一つ人の手でつけるのが大変ですね。夏から秋にかけては畑の草刈りや雑木の伐採をしつつ、生育不良や傷のある実を周期的に摘果していきます。せっかくなった実を間引くのはもったいないですが、いい文旦を育てるためには欠かせない作業です。そして冬はひたすら収穫・追熟・出荷ですね。ほとんどを手作業で行うので、繁忙期はスタッフだけでは回らず、シルバー人材センターの方に助けていただいています」

article_06716.jpg先代から受け継いだ知恵や農法を守りつつ、新しい感性で文旦づくりに向き合う森田さん。

この広大な敷地の文旦畑をほとんど手作業でお世話する…それは想像を絶する大変さだと思います。読めない自然を相手に雨の日も風の日も農作業に追われる日々ですが、お客様の「おいしい」の一言ですべてが報われると森田さん。そんな森田さんが丹精込めて育てた「丸神文旦」は、2014年から2年連続でJA園芸部展示品評会の果実部門で「土佐市長賞」に輝いています。
また、こちらでは地区名の「神谷」にちなんで、農園全体を神主さんにご祈祷してもらっているそうです。こうちファームの文旦を食べた人の不安や心配事が少しでもやわらぐようにとの想いを込めた、その名も「大丈夫ぶんたん」。若い生産者さんならではの面白い発想ですね。
この体験のお土産として、我が家にも2月の中頃に大丈夫ぶんたんが届きます。年々自分の健康や将来について不安ばかりが募りますが、大丈夫ぶんたんを食べればきっと大丈夫!


以上、とってもプレミアムな文旦収穫体験レポートでした。

(仁淀ブルー通信編集部 カミオカミヤビ)
●今回の編集後記はこちら 

■こうちファーム
http://kochifarm.com/
※こうちファームの文旦は「丸神文旦」の品名で、高知大丸及び高知県内一部のスーパー等で2月下旬頃より販売開始。


■土佐市観光Style
http://www.tosa-k-style.org/
※2016年度の文旦収穫体験は終了しました。その他、土佐市のまち歩きや伝統産業体験などを随時実施しています。

写真撮影/井戸宙烈(studio. ZONE V)