2016.09.09今年の仁淀のアユは大きいぞ!

今年の仁淀のアユは大きいぞ!

そろそろ秋の気配が漂ってきた仁淀川流域ですが、アユ釣り師にまだまだ暑い、じゃなかった熱い季節が続いています。9月30日まで、仁淀の大アユの季節はこれからなんです!

大ヒットシリーズ『陰陽師』で有名な作家の夢枕獏さんがやってきた。獏さんは大に大が付くくらいの高知好きで知られる。なぜかといえば高知には「いい鮎」が釣れる川があるから。以前、某雑誌のコラムで自らの高知好きをこのように告白している。「高知県は、海よし、川よし、ほどよき文明もあって、人生の後半戦を生きるには実によい所である。できれば自分も高知に住みたいが、奥さんがウンと言わないので実現できないでいる」
この「川よし」の部分を「アユよし」と本音で読みかえればよろしい(笑い)。じつは今回の来高は、私と獏さんが一緒に出演しているRKC高知放送の釣り番組『釣りバク日誌』第5弾の撮影のためだったのだが、それを口実に(笑い)撮影終了後も高知に居残って遅めの「夏休み」をふたりで楽しもうという魂胆だったのだ。獏さんも私もともに奥さんには「仕事で釣りをしなくちゃいけなくて」と申告してあるから問題ない(笑い)。

article_04702.jpg沈下橋の上からこれから攻めるポイントを下見する大作家。「おおっ、いるぞいるぞ」仕事中には絶対に見せない底抜けの笑顔。

須崎でのテレビ撮影(タイラバという鯛のルアー釣り)が終わった翌日、獏さんがいそいそと向かったのは越知町鎌井田地区の浅尾沈下橋。この橋のたもとの瀬と瀞で獏さんは去年もいい釣りをしたのである。
今年の5月13日配信の「仁淀ブルー通信」で大村編集部員が今年の仁淀川のアユ事情をレポートしてくれたが、私の手元には8月に入ってから「遡上数が少ない代わりに例年になく大型のアユが育っている」とのうれしい情報が届いていた。獏さんにそのことを伝えると、いきなり「よっしゃー!」と、戦闘モードにスイッチが入っちゃったのである。

article_04703.jpg仁淀ブルーのどまんなかに立ち込んでおとりアユをポイントに送り込む。写真奥が上流になる。高知の大自然の中に溶け込んで遊ぶ爽快感が伝わってくる。
article_04704.jpg「どうですか?」と問えば「いやー、なかなか厳しいね」と獏さん。しかし厳しければ厳しいなりの釣りができるのもベテランのワザです。

釣りの当日、8月26日の仁淀川は雨が少なかったこともあってかなりの減水状態である。沈下橋の上から水中を些細に観察すると、たくさんの大型アユが激しく石のまわりを泳ぎまわっているのが見える。普段はぜったいに竿が届かないポイントなのだが、今回は水が少ないのでそこまでおとりアユを送り込めるという好条件だったのだが…。
野アユはいるけど、おとりアユを本気で追わない。竿を操作しておとりアユをうまく泳がせて「どうだ」と挑発するのだが、先方は一向に「その気」にならない。なかなか厳しい状況だが、難しければ難しいほど釣り師の「やる気」は燃え上がるものだ。獏さんの目が真剣に竿先をにらむうち、ついに大アユが掛かった。竿が大きくしなり、水を切り裂いて糸がキューンと鳴る。
「こりゃたまらん」アユ釣り師が夜な夜な夢見る至福の時間である。獏さんは必死に竿を立ててこらえる。ようやく足元まで寄せて玉網に取り込んだアユは25cmを超える見事なサイズ。厳しかった獏さんの表情が一変、こぼれるような笑顔に変わった。

article_04705.jpgようやく掛かったアユは25cmを超す立派な体型。塩焼きにするとタップリ脂が乗っていてほっぺたが落ちました。

午前9時から釣り始めて午後3時まで。炎天下の仁淀川で目いっぱい竿を振った夢枕獏さんの「釣り夏休み」は、仁淀川の大アユが見事な接待役をつとめてくれたのでありました。サンキュー! 最後はこんな感じでふたりで川に浸かり、仁淀ブルー色に染まった夏の一日でした。

article_04706.jpg炎天下のアユ釣りのフィナーレはいつもこうなります。水温も20度を超えているので温水プールに浸かっている感じです。でもプールの中でビールは飲めませんよね(笑い)。
※『釣りバク日誌5 須崎沖のタイラバに獏笑(仮題)』はRKC高知放送で9月25日(日)17:00から放映予定です。高知にお住まいの方はぜひご覧ください。
◆『仁淀川漁業協同組合』http://www.niyodogawa.or.jp/

(仁淀ブルー通信編集長 黒笹慈幾 / 撮影・遠藤 昇)
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