2016.08.05仁淀川は「石」もおもしろい!

リオデジャネイロオリンピックが開幕! 世界中から集まったアスリート達の熱き戦いを見ていたら、運動音痴で運動不足な私もエキサイトしてきます。「私も世界一になりたいなぁ」・・・そんなことを考えている時、ふと一枚のポスターが目に留まりました。
【仁淀川 国際水切り大会】———水切りとは、石を投げて川の水面を跳ねさせるアノ遊び。それなら私も遊んだことがある! 国際大会ということは、一位になれば世界一ってこと? これはもう、やるしかないでしょう!


とはいっても、水切りが得意とはいえない私。ここは取材にかこつけて達人の技をモノにしたいと思います! お会いしたのは、「仁淀川 国際水切り大会実行委員」のなかでも特に水切りが上手いという岡林立哉さんです。


仁淀ブルー通信編集部:かなり真剣に石選びをされてますね。てっきり近くにある石を適当に拾えばいいかと思ってました。
岡林立哉さん:石はかなり重要です。大会当日も、会場の河原ではみんな下を向いて石を探してますし、優勝を目指している人は前日までにベストな石を探して持ってきますよ。
どんな石が水切りに適しているんですか?
円形で、表面がなめらかな石が良いです。また、持った時に石の重心を感じるんですが、なるべく中央にあったり、極端でないものが良いですね。あと、石の大きさや重さなど手に持った感じも大切。人によって適した石があるんです。とにかく実際に投げてみて自分に合った石の特徴をつかむしかないですね。


投げる時のコツはありますか?
石と水面が平行になるように、なるべく低い位置で投げることですかね。それと石が少し上向くようなイメージで、回転をつけて投げるとより勢いにのって跳ねていくと思います。

では、岡林さんの水切りを見せていただいてよろしいでしょうか?






えっ! 10メートル以上は飛んでますよね?あんな遠くに飛んでいくんですか!?
優勝に絡んでくる選手の方は、だいたいこれぐらいのレベルですよ。投げ方は人それぞれ、色んなフォームがありますが、やはりみんな低い位置を狙いますね。

想像を超えたレベルなんですが…一応、私もチャレンジしてみます!




岡林さん!!! 全然ダメなんですけどー(涙)
上手だと思いますよ(優しい!) 私も最初は上手な人の技や動きを見て真似して、何度もやって今ぐらい飛ばせるようになったので、高橋さんも練習すれば上達すると思います。それに、大会ではその時の川や風のコンディションによっても記録が大きく変動するんです。「これは絶対に飛ばせるぞ」という石が見つかっても変に力んでしまって全然飛ばせなかったり、逆に「これは飛ばないだろう」という石がよく飛んだりすることもあります。
石、技、運、気持ち・・・水切りって深いんですね。全然飛びませんでしたが、改めて真剣にやってみると楽しかったです!
大会自体も子どもからお年寄りまで誰でも参加でき、川遊び感覚で楽しんでいますからぜひ気軽に来てください。水切り大会以外にも、ハート型の石を探してエントリーする「ハート石コンテスト」なんかもありますよ。
ハート石? 女子っぽくってステキですね! 水切りももうちょっと練習して、せめて思った方向に飛ばせるようにしときます(笑)。岡林さん、今日はありがとうございました!

「ハート」という言葉にときめいた私は、さっそくハート石探しを開始! かわいくてきれいなハート形を見つけるべく、河原の石を見つめます。しかし、仁淀川の石って本当カラフルですよね〜。どうしてこんないろいろなタイプの石が集まっているんでしょうか。

「気になるよね〜」ということで、その理由を知るべくやってきたのは【佐川町立 佐川地質館】。全国の地質好きが集まる同館に聞けば、仁淀川の石の秘密も分かるはず。佐川地質館の溝渕富弘さんに教えていただきました。


溝渕さん、仁淀川にある石がカラフルなのはなぜなんでしょうか?
溝渕富弘さん:それは仁淀川流域に分布する地層が大きく関係しているんですね。仁淀川の河原には三波川帯の結晶片岩、秩父帯のチャートや珪質岩に起源を持つ石が転がっています。その中で、特にカラフルな石は「チャート」と呼ばれる、深海のプランクトンの死骸が堆積してできた岩石です。チャートは、酸素が少ないところでは黒っぽい色になりますが、酸素の多いところでは赤くなる。また、鉱物の入り方次第で、緑色や青色にもなったりするんです。その岩石が削られて仁淀川の河原をカラフルにしているんです。ちなみに、仁淀川を流れた石は最終的に桂浜へ流れ着きます。桂浜を「五色の浜」と表現しますが、それも元は仁淀川流域に分布する石の種類が豊富だからなんですね。


地層によって、河原の石は変化していくんですね。
ここでは高知県内を流れる仁淀川、吉野川、四万十川の河原の石を比較展示しています。この三つの川はそれぞれ異なる場所(三波川帯・秩父帯・四万十帯)を流れており、それによって河原の石ころも違っていますよね。
地層って難しいイメージでしたが、ここで勉強してみると身近な存在なんだなと、興味が湧いてきました。ありがとうございました!


再び仁淀川の河原に戻った私。改めて石を見ていると、「これはかつて深海を漂っていたプランクトンなんだな〜。一体どれほどの時間をかけて、今私の目の前にあるんだろう」と、壮大な地球のロマンを感じ、一人で激しく感動してしまいました! 水切り大会に燃え、地層に燃える夏・・・仁淀川はリオデジャネイロよりも熱い場所かもしれません!

(仁淀ブルー編集部 高橋さよ)
●今回の編集後記はこちら
いの町観光協会では仁淀川の石について学んだり、石の標本作りができる体験メニューを実施中!
夏休みの自由研究が終わっていないキッズとその保護者のみなさんにもおすすめです。
詳しくはこちら(仁淀川の話 「仁淀川の石はどこから来たのか」)をチェック!