2016.07.29食べて当てるぞ! 仁淀川のご当地アイス"ブラボーアイス"
夏真っ盛りの今、つい食べたくなるものといえばアイスクリームですよね。世の中には星の数ほどのアイスがありますが、私には食べなければならない宿命のアイスがあるのです。それは、佐川町が誇るソウルフード「ブラボーアイス」です!
私とブラボーアイスの出会いは、かれこれ7、8年前。佐川町を訪れていた時、3時のおやつにアイスが食べたくなって商店に入りました。さまざまなアイスが入ったショーケースをあさっていると、今まで見たことない、でも無性に懐かしさを覚えるロボットの絵が・・・まさにそれがブラボーアイスだったのです。私はそれ以来、夏でも冬でもダイエット中でも、ブラボーアイスを見るたびに買って食べるようになりました。なぜそんなにハマったかって? 100円玉を出しておつりが来る安さ、上品なミルク感がある味わい、すっきり爽やかな後味の良さ…ブラボーアイスにはたくさんの魅力がありますが、私をここまで本気にさせたのは、食べ終わった後の棒にあるんです。そう、ブラボーアイスは当たり付きのアイス! しかも、「7」なら1本、「77」なら2本、「777」なら3本ももらえるという超太っ腹!!! ところが…何本食べても当たらない…3本どころか1本も…。しかし、当たらないままで終わる私ではありません!今夏は、ある秘策を考えつきました。3本大当たりを引いて、地元をざわつかせたいと思います。
勝負に勝つためには、まずは相手のことを知らなければいけません。ということで、佐川町にある製造元へやってきました! ブラボーアイスの生みの親である横畠冷菓さんは、今から70年ほど前、戦後すぐに創業した老舗のアイス屋さん。夏の繁忙期にも関わらず、親切にご対応くださったのは創業者・潤吉さんの孫にあたる横畠康人さんです。
仁淀ブルー通信: お忙しい時にすみません!
横畠康人: いえいえ。ブラボーアイスの取材と聞いたら受けないわけにはいきませんから(笑)。それぐらいうちにとっても大切な商品です。
ブラボーアイスは、どれくらい前に誕生したんですか?
私は今42歳なんですが、私が生まれた時にはすでにブラボーは作っていたそうなので、もう50年近いんじゃないかなと思います。
「ブラボーアイス」という名前や、チョコレートのコーティングなんかも、50年前にはハイカラだったと思うんですが。
そうだったと思います。ブラボーは祖父が考えたオリジナルアイスで、「ブラボーアイス」という名前も祖父が付けたらしいです。ずいぶん昔のことなのでその意味まではわからないんですが、戦後に英語かぶれして名付けたんじゃないかなと(笑)祖父も親父も、「納得できるアイスじゃないと出さん!」と言い出すタイプなので、これまでいくつもの商品が生まれては消えていきました。そんな中でブラボーは作り続けている商品なので、思い入れは強いですね。
パッケージのイメージとは違って食べるとすごく上品な味わいですよね。後口もすっきり爽やか!
ありがとうございます。ブラボーは地元・吉本乳業の「地乳」を使っているので、そのおいしさを生かすように心がけています。すべてのアイスに共通することですが、祖父の代から余計な材料は加えず、なるべくシンプルな素材で作るのがこだわりなんです。そのため溶けやすいんですが、食べた時に口どけの良さを感じていただけると思います。
こだわりを持って作っているから、地元の人に愛され続けているんでしょうね。仁淀川流域以外ではあまり見かけないのですが、それはどうしてですか?
ブラボーの製造工程は、金枠にアイス液を流し込んで、一本一本棒を入れて冷やし固めて、金枠からアイスを抜いたらチョコをコーティングし、再び冷やし固めて一つずつ袋へ入れていきます。そのほとんどが手作業なんです。今は主に家族4人で作っていますので、地元以外に出せるほど大量生産ができないんです。
そうだったんですか! ということは、製造時に康人さんも当たりの棒を入れていらっしゃるんですか?
もちろんです。3本大当たりの「777」も必ず入れています。
そもそもなぜ、3本大当たりを入れるようになったんでしょう?
祖父が考えたことなので真意はわかりませんが、たぶん「夢」を感じてもらいたかったのではないでしょうか。1本食べて3本当たるって夢がありますよね。溶けやすいんで、実際に一人で食べてて当たったら困ると思うんですけど(笑)
いやー、困ってもいいから当たりたい!私、ずっと食べているのに全然当たらないんですよ。どうすれば当たると思いますか?
こればっかりはなんと答えて良いやら(笑)そういえば、先日佐川町に訪れていた観光客の方が「777」を当てたそうですよ。どの運試しでも同じことが言えますが、欲がない人の方が当たりやすいですよね。無欲で挑んでみてはいかがでしょう?
なるほど!ありがとうございます!!!
横畠さんからのアドバイスを胸に、いよいよ私の秘策を実行したいと思います。編集部員の上岡とともにやって来たのは仁淀川町。ここに、拝むと幸運が訪れるという巨岩があるらしいのです! そう、私の秘策とは「パワースポット」。可能な限り運気を上げて挑めば、1本どころか3本大当たりを引けるはず!
幸運をもたらす巨岩は、中津渓谷の宿泊温泉施設「ゆの森」近くにある「岩門石(いわどいし)」。なんでも、戦国時代末期、土佐の豪族・長宗我部氏の一領具足が出征の際に、この石を持ち上げて力試しをしたと伝えられており、この石を拝むと力と幸運が授かるというんです! さっそく岩門石へ向かいます!「確かここらへんに岩門石があるって聞いたけど…」探しながら歩いていると、なんと!
まさかの「立ち入り禁止」の文字が・・・岩門石まで近づける遊歩道が工事中でした。ガビーン!でも、車道からも岩門石を拝むことはできます。うーん、見上げるほどに大きく、堂々とした風格漂う岩。言い伝えどおり幸運がみなぎってくるような気がします。
幸運になってきたせいか、体の調子が良くなりお腹が空いてきました。まさに絶好調!せっかくなので「勝負にカツ」料理をいただきたいと思います。訪れたのは「お食事処おさき」さん。
東京の高級店で経験を積んだご店主・清永さんが作るトンカツは、中のお肉が驚くほど柔らかい! そして、自家製トンカツソースがやたらとウマイ! 白ごはんがモリモリ進む逸品です。こんなにおいしいトンカツが食べられるのも、私に幸運がきている証しですね。もう当たる気しかしないな。
トンカツで満たされたお腹をこなしながら、再びブラボーの聖地・佐川町へ。決戦の地は最近観光客の方が「777」を当てたという「旧浜口家住宅」です。
甘いチョコにコーティングされたミルクアイスは、シャクっと優しい歯触り。口に入るとチョコと一緒にスーッと軽く溶けながら、爽やかな地乳の味わいを広げます。いつ食べても、何度食べてもおいしいです。この日初めてブラボーアイスを食べた上岡も「想像していた味と違う!ミルク感があって、後口も抜群。大人もおいしく食べられますね」と感動した様子。でしょ?しかし、残念ながら一本めの棒には何も書かれていませんでした。ハズレです。おかしいなぁ。でも、いきなり「777」が出たらヤラセっぽくなっちゃいますもんね。ブラボーアイスも空気を読んでいるのでしょう。気を取り直して2本め、いただきます!
ん?食べ進めて棒が見えてきたのに、一向に「7」の文字が見えません。またもハズレです。でも、「777」が出れば3本大当たりですから、3本食べてプラマイゼロ、win-winな関係を目指しましょう。いざ、3本めへ!!!
というわけで、3本中3本ハズレという、いつもどおりの結果になってしまいました。そんなぁ〜今回は絶対当たる気がしていたのに〜なぜ〜? 帰路の車中、上岡と緊急反省会をしました。今回の敗因として考えられるのは、「パワースポットの岩門石で、余計なお願い事をしていた」「終始『777』狙いで、欲が強すぎた」「二人とも厄年だった」の3点です。でも、ブラボーアイスはいつものように甘く優しい味わいで、私たちは幸せでした。いつか「777」が出る日を夢見て、この夏もブラボーアイスを食べ続けます!
(仁淀ブルー通信編集部 写真・上岡雅/文・高橋さよ)
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●ブラボーアイスに関する問い合わせ
横畠冷菓
高岡郡佐川町乙1838-3
電話 0889-22-0172
※ブラボーアイスは佐川町「佐川町観光協会」「サンシャイン佐川」「JA各事業所」、土佐市「ドラゴン広場」「地のもん市場ハレタ」、日高村「村の駅ひだか」などで販売中