2016.06.24一人の農家さんが育て上げた20万本のひまわり畑

一人の農家さんが育て上げた20万本のひまわり畑

ずっと向こうまで続く一面のひまわり畑。ここはどこか異国の風景? いいえ、土佐市のネギ畑です。たった一人のネギ農家さんが咲かせた20万本のひまわりが、まさに今、見頃を迎えています!

ひまわり畑がある土佐市出間は、田畑が広がるのどかな場所。地域外から人が集まることはほとんどありません。しかし、ひまわりが咲くこの時期になると数千人の人が県内外から訪れます。「ひまわりを見るためにたくさんの人が来てくれる。それで、みんなが笑顔になって帰ってくれる。これ以上に嬉しいことはありませんよ」と話すのは、ひまわりを育てている松本都一さんです。

article_03602.jpgこちらがひまわり畑の主、松本都一さん。特技は手相占い。

代々農家に生まれ育った松本さん。本職はネギ農家ですが、ネギを収穫した後の畑でひまわりを育てると連作障害を防げ、よりおいしいネギが育つと聞いて実践したのが始まりでした。2001年のことです。

article_03603.jpg普段は立派なネギが育っています。

「最初は一部の区画に試し植えしたんですが、そこで『結婚式をさせてください』とカップルさんがいらしてね。その様子が新聞に取り上げられて、たくさんの人が見に来てくれるようになったんです」見に来てくれる人がどんどん増えて、「ぜひ続けてください」「来年も楽しみにしています」という応援の声もたくさん寄せられるようになりました。松本さんはその期待に応えようと、毎年欠かすことなく16年間ひまわりを育て続けてきたのです。

ただ見るだけでも胸がときめくひまわり畑ですが、その準備の様子を知ると感動もひとしお。ここで、松本さんの奮闘ぶりをご紹介いたしましょう!

article_03604.jpg今年もきれいに咲くように、心を込めて種をまきます。

ひまわりの種をまくのは、ネギの収穫を終える4月ごろ。何にもない、広ーーい畑に松本さん一人で種をまいていきます。

article_03605.jpgこちらがひまわりの種。発芽しやすい数だけ取っていくんだそう。

適当にまいているように見えますが、実は指先で種の数を感じながら「これぐらいの数なら、これぐらいの広さに、この間隔でまこう」と瞬時に判断しているのだそう。そこを適当にしてしまうと、発芽さえしないといいます。(実際、取材者が種をまいた部分は発芽しませんでした)

article_03606.jpg小さな小さな芽は、やがて人を超える背丈にまで成長します。

気温も天候も不安定な時期を、松本さんの巧みな管理で乗り越え、ひまわりは成長していきます。その一方で、松本さんには他にもしなければならないことがあります。

article_03607.jpgきれいに見える角度や位置を考えながらトラクターを走らせます。

まずは遊歩道づくり。松本さんのひまわり畑は外から見るだけではなく、畑の中に入って間近にひまわりを見ながら散策することができるんです。山や周囲の畑との景色のマッチングも見ながら、ベストな位置に遊歩道を作ります。

article_03608.jpgお客さんはもちろん、ご近所さんのことも考えました。

そして、今年はひまわり畑専用に駐車場も用意。ここ最近、たくさんの人が訪れるようになって路上駐車や渋滞が起きるようになっていました。「お客さんに安全に見てもらいたいし、何よりご近所さんにご迷惑をかけられない」と松本さん。荒地の整理は職人さんに依頼しましたが、白線引きは自らが行いました。

article_03609.jpg満開のひまわり!

いろいろな準備をしつつ、毎日毎日畑に立って大事に育てたひまわりは、高いもので2メートル以上に成長。大きいものだと30センチの大輪をつけます。

article_03610.jpgこの景色を楽しみに県内外から人々が集まります。

「咲くまではひまわりの方ばっかり見てるけど、咲いたらもう花は見ないんです。花よりも来てくれるお客さんの笑顔が見たいから」と笑顔で話す松本さん。一見お元気そうですが、実は今年病気を患ってしまい、本職であるネギ栽培はお休みしていたんだそう。でも、楽しみにしてくれている人々のためにひまわり畑だけは休みませんでした。体力面も大変でしたが、そこは気力でなんとか!  ただ、問題となったのは経費です。たださえひまわり畑の管理にはお金がかかりますが、今年は駐車場も用意。その上、ネギの収入がない・・・。そこで、松本さんは今年初めて協力金を募ることにしました。

article_03611.jpgとっても素敵な協力のしかたです。

協力金を募るとはいっても、人に喜んでももらいたい松本さんは、一つ素敵なプレゼントを用意してくれました。100円の協力金で3本までひまわりの持ち帰りができるんです!持ち帰り専用区間を散策して、お気に入りのひまわりをチョイス。松本さんが丹精込めて育てたひまわりは、家でもきれいに咲いてくれますよ。また、6月25・26日は現地で土佐市特産物の返礼品がつく協力金受付ブースが登場。6月末までであれば土佐市観光Styleでのサイト(http://www.tosa-k-style.org/#!blank-1/qh516)でも受付を行っているそうです。「僕は人が大好き。人がいないと面白くない。だから、人にたくさん来てもらいたいんよ」と松本さん。松本さんの生きざまと、大輪の黄色い花をあなたの目にも焼き付けてください。

article_03612.jpg昨年は10万本でしたが、今年はその倍!なんと20万本のひまわりに挑戦しています!

場所:土佐市出間(詳しいアクセスはこちら)
※周辺道路は狭いところもありますので安全運転を心がけてください。
車はひまわり畑専用駐車場へ。土日は臨時駐車場もあるということです。
開花情報などは松本都一さんのサイトをご覧ください。
http://tosashi-style.wix.com/mk-himawari

(仁淀ブルー通信編集部員 高橋さよ)
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